後ろの頭陀袋
投稿者:きな粉もち (3)
五年前のことです。
当時、大学生で一緒に
デートをするような彼女を持たない僕は
長い夏休みをバイトに費やしていました。
少しでも割のいい給料をもらうために
交通整理のバイトに尽き、
朝方に帰る生活を送っていたのですが、
その時に体験したことです。
私の働いてる仕事場は、
昭和に切り開かれた開拓地を利用した結果、
生み出された閑静な住宅街の中にありました。こう言ってしまうのも失礼ですが、
ダムが近くにあるだけの利便性という言葉は
かけらもないさびれた土地です。
寺が一つ学校が一つあるだけの街で、
遊ぼうとするには麓に下りないといけないし、必要最低限の施設すらそろっていない、
陸の孤島と呼ぶにふさわしい場所です。
住宅街と寺の間にはトンネルが二つあり、
車が通るためのトンネルと
真横に小さい歩行者用のトンネル、
そのふたつから寺にアクセスすることが
できました。
その近くの道路の舗装をするために
あの日は働いていたんです。
真っ暗闇の中、雨が降っていました。
濡れネズミになって整理を行っていた僕は
体を冷やしたのか腹痛に見舞われたのですが、
なんとか仕事をやりぬき、
休憩時間を迎えました。
その後は同僚と選手交代し、
お花を摘みに向かいました。
交通整理はバイトの性質上、
トイレの場所があまり近い場所になくて
最寄りのトイレがある成子寺(なるこでら)は
そのトンネルをくぐらなければ
辿り着けませんでした。
間違い電話かな?
最後に何が起こったのか最後までぞくぞくするお話