お札付きマンション
投稿者:ぴ (414)
たまに曰くつき物件ってあるじゃないですか。
異様に安い物件はそういう曰くつき物件の可能性が高いから、やめたほうがいいと先に上京していたお姉ちゃんから教えてもらっていました。
私もそのときは「気をつける」と言ったのです。
しかし、不動産屋さんでおすすめされたときに、そんなことなどすっかり忘れて安い物件に飛びついてしまいました。
よく使う駅にも近くて、破格の安さでマンションが借りられると聞いて、これを逃す手はないとその時は思ったのです。
まさかそれがあのようなことを引き起こすなんて思いもしませんでした。
私はこの物件で、大事な人を亡くしてしまいました。
当初の私はお笑いの育成学校に通っていて、本気でお笑い芸人を目指していました。
私の相方のカナ(仮名)は、その学校で知り合った夢を同じくする仲間です。
一緒にお笑いのトップになろうなんて笑いながら夢を語ったことを思い出します。
私が激安のマンションに転居した話をしたら、すぐに食いついてきて私の家に行きたいと言ったのです。
私はすぐにカナを家に呼びました。
一緒にご飯を食べたり、ネタを考えたりして楽しく過ごしていました。
そんなときに脱衣所でカナが不思議なものを発見したのです。
私は数日その家で暮らしてきましたが、それにはまったくといっていいほど気が付きませんでした。
でもカナは脱衣所で、お札みたいなものが貼ってあるのを見つけました。
どうにも字が読めなくて、私はお手上げでした。
邪魔だからはがそうかとカナに言いました。
カナは少し考えて、「でもお札を貼ってあるってことはこれに意味があるのかも」と一人でもごもごと言い出したのです。
私はそういう心霊系はほとんど信じないタイプでしたが、カナは反対にすごく興味があるらしく、ちょっとしたオカルトマニアみたいなところがありました。
だから「はがさないほうがいいよ」と私に言ったのです。
私はそう言われて、そのお札をはがさないことにしました。
それから何度かカナが家に遊びにきました。
そしてその度に私に「なんか変な音しない?」と階段のほうを気にしたり、「物が移動してない?」とか「誰かの声がした」とか奇妙なことをいうようになりました。
私はてっきりカナが私を驚かそうとしてこのようなことを言っていると思っていました。
何か出ると思わせ、幽霊を信じない私を脅かそうとしているんだと思ったのです。
私は幽霊なんて全く信じておらず、まさかカナがこれらを本気で言ってるなんて夢にも思いませんでした。
そんなある日に、急に部屋にカナが訪ねてきたのです。
いつもと違い、その日は顔面蒼白で、明らかに様子がおかしかったです。
家に着くなり、私に「お札まだ貼ってるよね?」と不思議なことを訊ねてきたのです。
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