お札付きマンション
投稿者:ぴ (414)
私が「え、お札?」とすぐに家に貼ってあったお札に思い当たる前に、無理やりに家に入ってきて、脱衣所に駆け込んでいきました。
そしてそこにお札が貼ってあるのを確認して、ほーっと息を噴き出して倒れるように膝をつきました。
すごく安堵しているようでした。
私が「いきなりどうしたの?」と話を聞こうとしたら、カナは「しっ」と鋭く言ったのです。
まったく訳が分からない私に「聞かれるから言わないで」と言いました。
それはもう鬼気迫る様子で、私の質問を遮りました。
そして私に言ったのです。
「なんでもいいからすぐにでもこの家を出て」彼女はそう言い残し、急いで家から出ていきました。
「聞かれる」の意味も何も教えてくれなくて、不安だけが私の胸を渦巻きました。
なんだか気味が悪かったけど、すぐに部屋を出るにも転居先がなくて、私は部屋でいつものように一夜を過ごしました。
そして翌朝になって、脱衣所で歯を磨いているときに、いつもなら確認すらしないあのお札に目をやります。
そしたら札が破れていることに気が付きました。
それを見て一気に何か嫌な予感がしたのです。
いつものように学校に行って、そこで私はカナの訃報を聞きました。
昨晩、カナは足を滑らせて水路に落ちたというのです。
頭の打ち所が悪くて、そのまま溺れて亡くなったと聞きました。
ショックだったし、何よりうちからの帰り道っていうのが衝撃的でした。
しかも水路ということは、いつもカナが利用しているルートでは帰っていないことになります。
なぜそちらの道を通ったのか分からないし、あの日のおかしな様子も思い出し、私はぞっとするものを感じました。
それから一番気になったのが家に貼ってあったお札です。
あの日カナはそれが破れていないかをわざわざ私の家に確認しにきました。
そして翌日そのお札はカナが心配した通り、破れていたのです。
あのマンションに帰ると、いつもより部屋が2~3度肌寒く感じました。
そしてカナの最後に言い残した言葉を思い出します。
カナはこの家を出ろと言っていました。
そしてそういったその日の内に命を落としたのです。
丁度それを思い出していたら、マンションの階段からキシキシという聞きなれない音がしました。
びくっと音のしたほうを見たけど、何もいなかったです。
怖くなってテレビをつけようとリモコンを探したけどありません。
探したらなぜかソファーの下に落ちていました。
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