空き地に出没する男の霊
投稿者:窓際族 (47)
とある県、とある街に、事務用品やオフィス資材を扱うU(仮名)という小さな会社がありました。昔はそれなりに事業がうまくいって、一時期は3、40人くらいの規模にまでなったそうですが、今ではもうその建物すら見る影もありません。とはいえ、この短命に終わった会社が今も忘れられていないのには理由があります。そのビルの跡地は長らく空き地となっていたのですが、そこで「ここで社員をしていた男の霊が出る」という噂があったのです。
その男についてのエピソードは人によって少しずつ異なりますが、大筋は次の通りでした。中途採用で入社してきた男が周囲から激しいいじめやハラスメントを受けてすぐに辞めた。そしてその後精神病院に通い、自殺した。自殺する前、その男はブツブツと独り言を言いながら走る、何もないのに笑ったり泣いたりしながらウロウロするなどといった奇行を繰り返していた……。
まあ、そこは同族経営の風通しの悪い会社だったらしいですし、新人は若いにしろ歳を取っているにしろ多かれ少なかれイビられるものなので、そのお話自体にあまり驚きはありません。しかし敏感なタイプの人によればそこには負のエネルギーがだいぶ溜まっていたらしく、夜に通りがかると怒鳴り声や泣き声が聞こえたこともあるとか……。
ちなみに今は小さなコインパーキングになっており、夜も明るいため元社員の男や変な声が観測されることはだいぶ減ったそうです。しかし不気味なほどに車は入っていないので、この会社についてのお話を知らずに投資してしまった人は大変だなと思います。あるいは、負の歴史を消すために赤字を出してでもそれを続けているのか……。
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