死者に会えるカーブミラー
投稿者:ぴ (414)
もう一度愛犬に会えるなんて思わなかったし、普段と変わらない愛くるしい姿にとても安堵しました。
しばらく私はカーブミラーを見たまま、愛おしさで動けなかったです。
角を曲がったらまた消えてしまうのが嫌だと思いました。
愛犬はまるで私に最後のお別れを言いに来たようにその場で何度もくるくると回りました。
そしてどこかに走り去っていったのです。
思わず私はカーブミラーに向かって走りました。
角を曲がった瞬間、本当に数センチくらいのスレスレを暴走車が走っていって、危うくひき殺されるかと思いました。
今までの感動が嘘のように血の気が引き、心から気を付けようと思いました。
そして4回目のあれは、どの体験よりも怖いと思いました。
雨上がりの天気の悪い日に、カーブミラーを見上げると、昔懐かしい中学生の頃によく懐いていた担任の先生が立っていました。
こっちを見て、ひらひらと手を振っていたので、何の疑いもなく振り返しました。
なぜか私は先生が私に会いたくなって訪ねてきてくれたと好意的に思ったのです。
だから私はそこにいるのを疑わずに、いつもの道の角を曲がりました。
曲がってみるとそこには誰もいなくて、「へ!?」て思いました。
完全にそこにいると信じていたからです。
だからいつもならしないのに、曲がった道をもう一回戻ってカーブミラーを確認したのです。
そしたら先生が立って手を振っています。
しかし、先ほどまでの笑顔ではなく、よく見たらなんだか切羽詰まったような顔をしていて苦しそうでした。
そして先生は急に胸元を抑えて、しゃがみ込みます。
苦しみ初めてそのまま道に倒れてしまいました。
その後ぴくぴくと動いていたのが、動かなくなりました。
恐怖の瞬間を目にして、私はしばらく動けませんでした。
おそるおそる道の角を曲がると、倒れている人どころか、そこには誰もいなかったです。
カーブミラーにも、もう何も映っていなくて、恐怖に身震いしました。
そのまま恐怖を我慢して、友達の家に行きました。
偶然学生時代から仲がよく、近くに住んでいる友達がいて、今日はその友達の家に行く予定だったのです。
家に到着するなり、その子に先生の話題を出したら、「あー、中学の担任、今年の春頃に急に亡くなったらしいよ」と言われました。
詳しい理由は分かりませんが、病気で亡くなっていると聞いて、鳥肌が止まらなくなりました。
その日に私はあのカーブミラーに映る人がどのような人なのか確信しました。
あれは死者が映るカーブミラーなのです。
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