謎の音と謎のおじいさん
投稿者:玲々 (11)
これは私が中学生の頃の話です。
田舎に住んでいた私はAちゃんと共に、Bちゃんの家に遊びに行っていました。
Bちゃんの家は田舎ではよくあるタイプの母屋と離れがある家で、部屋は離れの2階にありました。
遊んでいる途中、Bちゃんが母屋にいる母親に呼ばれ部屋から居なくなった時にそれは起こりました。
パァン!パァン!と突然乾いた音が部屋の中に2回連続で鳴り響いたのです。
私たちはびっくりして「何の音…?」と互いに口に出したものの恐怖心からそれ以上は話せず、静かに様子を伺っていました。
すると、今度は部屋の窓の方からパァン!と同じ音が響きました。
2人同時に悲鳴をあげたものの何故か窓の外を確認しなければという気持ちに襲われ、私たちは窓へと近付きました。
窓の外に見えたのは、少しだけカーテンが開いた母屋の2階の窓でした。
そのカーテンの隙間からおじいさんらしき人物が怒った表情でこちらを覗いているのが見えたので、Aちゃんと私は安堵のため息をついてから軽く会釈し、窓から離れました。
『うるさくしてしまいBちゃんのおじいさんを怒らせてしまった』と思った私たちは「おじいさんが何か投げてたんだね」「幽霊かと思って怖かった!」と話していると、飲み物を持ったBちゃんが部屋に戻ってきました。
さっきあった事をBちゃんに話し、おじいさんに謝っておいて欲しい旨を伝えると、Bちゃんは不思議そうな顔で首を傾げました。
「え?おじいちゃん…さっきキッチンで一緒に居たけど…」
私たちの見たあの怒った表情のおじいさんは一体誰だったのでしょう。
高校を卒業し都会へと出てきた私は今も時々、夏になるとあの不思議な出来事を思い出します。
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