くしがた
投稿者:colts01 (1)
本当は全ての部屋を回る予定でしたが、心霊現象とは少し違うような不気味さに男性もそれ以上探索するのをやめて帰る事にしました。
「とりあえずカメラを現像して、それからまた来るかどうするか決めよう」
敷地を出て車までの道を戻っている時、林の反対側、住宅地側の道角にふと商店の明かりが見えました。
先程までの何とも言えない感覚のせいか、とりあえず人の居る所に行きたかった男性は商店に入りました。
中では40代程の茶髪の女性が店番をしていました。
食べ物を選んでいる際にふと地元の人にあの団地の事を聞いてみようと思い、レジで支払いをしている時に女性に
「すみません、ちょっとこの近くにある団地で聞きたい事が」
と切り出すと女性は「あぁ」と言い、
「たまに来ますよ。あそこの事を聞きに来るお客さん。」
どうやら自分以外にも行ってる人が居たのかとなんとなくホッとした男性は色々聞いてみる事にしてみました。
「あそこってやっぱり地元じゃ有名なんですか?」
「そうですねー。でも今じゃみんなもう慣れたというか。」
「慣れたですか?」
「中見ました?窓割れてましたよね。」
「ええ。」
「あれひとりでに割れてるんです。誰も来てないのに。」
「え?」
「割れた音が聞こえて、誰かが見に行くんですけど誰もいないんですよね。」
女性はあっけらかんとした様子で話しました。
そんな事が本当にあるのか。
それから男性はあの団地の出来た当時の事や廃墟になった経緯を聞きました。
廃墟になった理由はある事業が閉鎖した際に人口が減った為だそうです。
5分ほど話した後、ふと女性が
「そういえばあれ見ました?」
と言いました。
「あれって何でしょうか?」
「ほら、敷地内に入る道の横にあるやつですよ。」
道の横・・・何かあっただろうか。
「まだならすぐそこなので案内しますよ。」
といい女性はレジから離れ、店の外へ出て行きました。
店空けちゃっていいのかなと思いましたがこれも地方特有なのかと男性は女性の後について行きました。
最近は、廃団地多くなりました。
小屋に入らなくてよかったですね。
友人が後から検証に行った後日談が、さらなる恐怖を呼び覚まし、ゾクリとします。
そういえば、過去、我が家を建ててくれた大工さんから、聞いたことがあります。
家が無人になると、なぜか、障子が破れたり、窓ガラスが割れたりしやすくなるのだそうです。
「不思議ですね。」と言うと、この業界の常識なのだとか。大工さんによると、そういうもんだと受け入れて、「その訳は、深追いしないことにしている。」とのことでした。