くしがた
投稿者:colts01 (1)
かなり昔に、場所は伏せるという条件である男性の方から聞いた話です。
男性はよく心霊スポット巡りをしていました。
友人と遊ぶ為だとか霊感がある訳でもなく、霊やあの世といった類いの事を信じておらず、
「本当に霊がいるなら一度会ってみたい」という好奇心と暇つぶしで休みの日に心霊スポットへ出かけていました。
ある地方に出ると噂されている集合団地の廃墟がありました。
当時は今ほど情報が簡単には集まらなかったので人づてに聞いたそうですが、
「屋上から女性と子供が笑いながらこちらを見下ろしていた」
「廊下の端を車椅子に乗った老人が通り過ぎた」
「ある部屋から人の叫び声とラジオ番組の音が流れていた」
等々いくつもの目撃情報があったそうです。
「もしかすると本当に会えるかも」
と思った男性はある休みの日、カメラを持って車でその団地へ向かいました。
団地がある街は比較的大きな街で団地は街のはずれにありました。
街に着いた頃にはすでに深夜で、メインストリートから脇道に入り小さな住宅街を通り抜け、右手に林が広がる道に着きました。
そのまま道を走っていると林の切れ目から団地が見えました。
男性は少し車を走らせた後道端に駐めて歩いて敷地内へ入りました。
第一印象としてはごく普通の団地でした。
経年劣化による汚れと雑草が目立ちますが、大きな団地で大勢の人が昔は暮らしていたんだと感じさせられたそうです。
外観を撮影した後、まず1階の部屋を順に見て回りました。
部屋の中は汚れや窓が割れている以外には特に不審な所も無く、床や壁紙を変えれば住居として使える程だったそうです。
次の部屋も特に変わりなく、その次もと見て回り半分程回った頃、ある事に気付きました。
「そういえばここ、落書きが全然ないな」
暴走族や若者が残すスプレーでの落書きがこの廃墟では全くと言っていいほど見かけません。
ゴミの容器等も落ちておらず心霊スポット特有の人が訪れた痕跡がほとんどありませんでした。
あるのは崩れた壁紙やほこりやガラス片や木屑のみです。
「市が警備会社や清掃業者を雇ってるのかな」
などと考えながら1階を撮影しながら全て見て回り、一度敷地内へ戻りました。
月明りに照らされた建物の外観を眺めているうちにふと奇妙な感覚がしたそうです。
確実にここへは誰か来てるはずなのに、まるで今まで誰もここへ訪れたことが無かったような、自分以外に生きている生物が存在しないような、本当にここは心霊スポットなのか、
とにかく今自分がここにいる事が酷く場違いで、不適当な事だと感じたそうです。
最近は、廃団地多くなりました。
小屋に入らなくてよかったですね。
友人が後から検証に行った後日談が、さらなる恐怖を呼び覚まし、ゾクリとします。
そういえば、過去、我が家を建ててくれた大工さんから、聞いたことがあります。
家が無人になると、なぜか、障子が破れたり、窓ガラスが割れたりしやすくなるのだそうです。
「不思議ですね。」と言うと、この業界の常識なのだとか。大工さんによると、そういうもんだと受け入れて、「その訳は、深追いしないことにしている。」とのことでした。