真夜中の電車
投稿者:やすらか (1)
「おきゃくさん、終電はもう終わっていますよ。」
そこで私は、最初の駅で、終電は行ってしまったというアナウンスを思い出しました。
私が乗っていたあの電車は何だったのでしょう。
駅員さんに尋ねようとその駅員さんの顔を見ました。
駅員さんは、黒いマスクをしており、
顔がよく見えないくらい、帽子を深くかぶっていました。
マスクをしているので表情も読み取れません。
怖くなった私は、まったく言葉が出ませんでした。
そのまましばらく駅のホームにいたでしょうか。
駅員さんは、そのまま歩いて行ってしまいました。
別の駅員さんがふたり、階段を降りてやってきました。
その人たちは、マスクもしていないし、帽子も正常にかぶっています。
わたしが二人をみてほっとしたとき、
「もう駅を閉じますから、駅から出てください。電車はおわり、おわりです!」
と言われたのです。
わたしは、急いで駅から出ました。
不思議なことに、駅から出るのは私だけではありませんでした。
でも、わたしはだれ一人と目を合わせることなく、その場を後にしました。
その日は泊まれる場所を捜し、翌日に彼のもとへ向かいました。
彼に会ったときにそのことを話しましたが、
何も信じてもらえませんでした。
しばらくして、私の母と、母の友人と食事をしたときに、
なぜかこの電車の話をしました。
その友人は、私の話をきいて、一言いいました。
「それは幽霊電車ってやつじゃないの?そのまま乗っていたら、
死後人が行くところに連れて行かれるんだよ。乗客はきっと、全員死んでしまった人だ。」
と言われました。
わたしはその言葉をきいて、妙に納得しました。
だからまず、乗客がみんな様子がおかしかったのだ、と。
友人は続けて言いました。
「幽霊っていうのは、普通に町中を歩いているけど、
みんな気づかずすれ違ってるんだ。普通の人間のように見えるからね。
すごい体験をしたね。無事でよかった。そして、
声をかけてくれた駅員さんたちがいなければ、
また次の電車を待っていたんじゃないかな?」
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