「おきゃくさん、終電はもう終わっていますよ。」
そこで私は、最初の駅で、終電は行ってしまったというアナウンスを思い出しました。
私が乗っていたあの電車は何だったのでしょう。
駅員さんに尋ねようとその駅員さんの顔を見ました。
駅員さんは、黒いマスクをしており、
顔がよく見えないくらい、帽子を深くかぶっていました。
マスクをしているので表情も読み取れません。
怖くなった私は、まったく言葉が出ませんでした。
そのまましばらく駅のホームにいたでしょうか。
駅員さんは、そのまま歩いて行ってしまいました。
別の駅員さんがふたり、階段を降りてやってきました。
その人たちは、マスクもしていないし、帽子も正常にかぶっています。
わたしが二人をみてほっとしたとき、
「もう駅を閉じますから、駅から出てください。電車はおわり、おわりです!」
と言われたのです。
わたしは、急いで駅から出ました。
不思議なことに、駅から出るのは私だけではありませんでした。
でも、わたしはだれ一人と目を合わせることなく、その場を後にしました。
その日は泊まれる場所を捜し、翌日に彼のもとへ向かいました。
彼に会ったときにそのことを話しましたが、
何も信じてもらえませんでした。
しばらくして、私の母と、母の友人と食事をしたときに、
なぜかこの電車の話をしました。
その友人は、私の話をきいて、一言いいました。
「それは幽霊電車ってやつじゃないの?そのまま乗っていたら、
死後人が行くところに連れて行かれるんだよ。乗客はきっと、全員死んでしまった人だ。」
と言われました。
わたしはその言葉をきいて、妙に納得しました。
だからまず、乗客がみんな様子がおかしかったのだ、と。
友人は続けて言いました。
「幽霊っていうのは、普通に町中を歩いているけど、
みんな気づかずすれ違ってるんだ。普通の人間のように見えるからね。
すごい体験をしたね。無事でよかった。そして、
声をかけてくれた駅員さんたちがいなければ、
また次の電車を待っていたんじゃないかな?」























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