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不思議体験

やすらかさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

真夜中の電車
長編 2022/08/10 21:28 6,504view
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そこでなんとなく安心しました。
なんだ、人が乗っているんだ、と。
最終電車が行ってしまった、なんて私の聞き間違いだったんだ、よかった。
そう胸を撫でおろしたのです。
ガラガラの車内でしたが、とりあえず自分の座る席を決め、
座ったところで電車が動き出しました。
真夜中ということもあり、電車の外はとても暗く、街灯もあまりないように見えます。
マンションの廊下のあかりも、夜中までやっているはずのコンビニのあかりすら、見えません。
私のはやる気持ちとともに、電車も急いでくれているのだ、
くらい楽観的になっていました。

しばらく乗っていたのですが、
駅につくたびに、誰も乗降しないままでした。
こんなに人が乗っていないなら仕方がないか、と思っていました。

みんな同時に同じ駅で降りたりするのだろう、という気持ちでした。
ただ、それにしても人の動きがありません。
みんな終点まで乗っているのかと疑うほど、だれも停車駅を表すパネルを
見る人はいなかったことを覚えています。

しばらく駅を越えたところで、私はどこに向かっているんだろう、と自分自身に疑問を抱き始めました。
たしかに彼に会うために電車に乗ってはいるけど、どこまで行こうか。
そもそも、この電車だけで彼のもとへは到着しないのです。
乗り換えが必要だというのに、気づくとわたしも、
周りの乗客と同様にこのままずっと乗っていなくては、という気分になっていました。

電車の中も暖かく、眠気も感じてうとうととしていたということもありました。
降りたくない、とすら思っていたのです。
居心地がいいのです。この電車が。
でも寝てしまうこともなく、終点につくのを心待ちにしていました。

でも突然に、降りなくちゃ、という焦燥感に駆られました。
この電車はなにかがおかしいと気づいたのです。
よく考えれば何もかもおかしい電車です。
乗客はみんな、血色の悪い体調の悪そうな顔をしていますし、
誰一人として、顔をじっとみつめても、見つめ返してきたり、
私の視線に気づく様子もなく、乗っているのですから。
私は、立ち上がって、車掌席まで歩いていきました。
車掌席は、目張りがしてあり、様子がうかがえないようにされていました。
なにか、乗っている人が普通の人であると、確信を得たかったのですが、
それがかないませんでした。
不安になった私は、もう降りよう、降りなくちゃいけない、と思ったので
私は次に到着した駅で、すぐに降りました。
電車は、少し停車したのちに、出発しました。
行ってしまった電車を見つめていた時です。
降りた駅の駅員さんが私の近くに来て、言いました。

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