後ろの頭陀袋
投稿者:きな粉もち (3)
長編
2022/08/03
01:34
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僕は和尚さんに感謝の言葉を述べました。
「いえいえ、今回はご愁傷さまです。
何かございましたら、
こちらにおかけ下さい。」
別れの挨拶に少し違和感は感じましたが
あんなことがあった後です。
気を使ってくれているのかなと思い直し
携帯番号を交換したあと
彼とはそこで別れました。
後日談なのですが、あれから災いらしい
災いは一度も起きていません。
帰ってから数か月はびくびくしていましたが、いまでは昔の出来事として
飲み会の話のタネになっています。
あの事件以降、気になる女性とお付き合いすることができ、昨年結婚させていただきました。
むしろ順風満帆な生活を送れています。
おなかの中には子どもまでいて、生まれてくる名前をふたりで決めている最中です。
ぺたぺたと微弱ながらこちらに
挨拶をしてくれててとっても愛らしい。
早く生まれてこないかなと
楽しみで仕方がありません。
そんな時です。電話がかかってきたのは。
画面には成子寺(なるこでら)の文字が。
交換したきり掛けることのなかった
電話番号に少し戸惑いながら
通話ボタンを押します。
「はい、もしもし…」
「この度はご愁傷さまでした。」
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最後に何が起こったのか最後までぞくぞくするお話