【ほん怖】真夜中に鳴り響くナースコール
投稿者:邪神 白猫 (7)
【体験者】K県在住Mさん。
※※※
「──説明はこんなところかな。他に何かわからないことがあったら、その都度聞いてね」
「はい、わかりました」
看護学校を卒業したばかりの私は、この日、念願だった看護師としての初日を迎えていた。
勤め先であるこの病院の先輩達は皆んな優しそうで、初勤務に緊張していた私は肩から力を抜くとホッと安堵の息を漏らした。
「緊張してるの? 慣れるまでは大変かもしれないけど、一緒に頑張りましょうね」
「……はいっ!」
勢いよく返事を返した私を見てクスリと声を漏らした吉田さんは、「元気ねぇ、若いって羨ましいわ」と言って優しく微笑んだ。
四十半ばを迎える吉田さんはとても面倒見が良く、その人柄のせいか同僚や後輩からとても慕われていた。そんな吉田さんが私の教育係とは、これ以上ない程に頼もしい。
「──宮野さん。それじゃ、一緒に巡回《ラウンド》に行きましょうか」
「はいっ!」
夜勤担当者からの申し送りを終えると、そのまま吉田さんの後を追いかけて一般病棟を巡回する。全くの初めてという事ではないとはいえ、これが正式な看護師としての初業務かと思うとやはり緊張してくる。
入院している患者さんからしてみれば、吉田さんも私も同じ看護師。新人だからといってミスは許されないのだ。
「そんなに緊張しなくても大丈夫よ」
「は、はい……」
そんな私の緊張が伝わってしまったのか、私の顔をチラリと覗くと優しく微笑んだ吉田さん。
「みんな優しい人達ばかりだから、きっと直ぐに慣れるわよ」
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