気味の悪いホテルと愛犬と愛猫
投稿者:ハムレット (4)
長編
2022/07/14
07:45
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「こんな部屋で一晩、いられないよ!」と怖いからすぐにホテルを引き払いたい、と私は主張しましたが、夫は
「確かに真っ暗にして寝るのは怖いけど、電気をつけたまま寝ちゃえば大丈夫だよ」と言います。結局、私と夫は長旅の疲れで
部屋の明かりを灯したままでも、日付が変わるころには眠りに落ちていました。けれども、いつもは私と体を寄せ合って眠る犬も、夫と枕を並べて眠る猫も、
どちらも朝までその壁の前に座り続けていました。そうして、早朝に着替えだけ済ませてさっさとチェックアウトしてホテルを後にしました。「昨夜、テレビが映らなくてフロントに電話したんですが」と尋ねてみたのですが、「え?そうですか、おかしいな。私、その時間フロントに居たんですが、客室からの電話はありませんでしたよ」と
言われました。そして、その日、犬も猫も疲れ切ったようにずっと一日中、眠っていました。一体、二匹は何に対して警戒していたのでしょう?そして、どうして窓を開けられないように鍵を紐でぐるぐる巻きにしていたのでしょう?どうしてフロントに電話が通じなかったのでしょう?わからないことだらけですが、あの古びたホテルにはなにか人間には見えないモノが住み着いていることだけは確かなようです。
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