しゃべる人形の怪
投稿者:ぴ (414)
私は父に誘われて、父の知り合いの家に連れて行ってもらったことがありました。
なんでも父の知人がそこに置いてあるものなら何でも持って行っていいと言ったらしくて、父は朝から宝探しをするような感じでウキウキでした。
私もそんな父に誘われ、最初はうきうきそこに行ったのですが、そこはまるでガラクタ置き場のようでした。
父はそれでも喜んでいるようでしたが、私にとってはそこまで価値があるものがあるようには思えませんでした。
そして私のテンションを落とす理由がもう一つあります。
そのガラクタ置き場にはたくさんのボロボロに古びた人形が捨ててあって、それがとてつもなく不気味で怖かったのです。
父に早く帰ろうと急かしましたが、何が気に入ったのか父はいろいろと物色して私の話なんて上の空です。
私は一人で不気味なガラクタに怯えていたのです。
そんなときに私は何かを踏んでしまいました。
ぎくりとしたのは、足元から何やら低い男の声がしたからです。
「痛い…」とその声は不満そうに苛ついた声で確かに言いました。
驚いて飛び上がって下を見たら、私の足元に人形が落ちていました。
私はその人形を踏んでしまっていたみたいでした。
私はすぐに父のもとに走って行って、「人形がしゃべった」と訴えたのです。あまりに怖くって手も足も声もぶるぶる震えていました。
怯え切った私を見て、父は人形を調べたのです。しゃべるおもちゃと思ったらしいです。
人形の背中やスカートの中などスイッチがありそうなところを探し回りました。
しかし、何もなくて私はぞっとして冷や汗をかきながら手に持った人形を早く捨てるように父に言ったのです。
父は何事もなかったように知人の物置にある物を物色して、私に急かされるまま車で家に帰りました。
後で聞いたのですが、あそこにあった人形はその後すべて処分されたらしかったです。
どうやら人形の持ち主は父親の知人ではなく、その知人の親戚みたいです。
何やら呪いとかそういう類ものをコレクションするのが好きな人だったみたいだと聞きました。
あの人形はその呪いのコレクションの一つだったのでしょうか。
人形がしゃべるだなんてあまりに現実味がなくて今思い出してもぞっとします。
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