ジンカン(再び)
投稿者:菊地@春樹EXE (4)
顔には深いしわが刻まれており、どこか陰鬱な雰囲気を感じさせる男だった。
『お前だよ。そこの学生』
男は自分を指さす。
その目は自分を見ているというより、まるで自分の心の中を覗いているようだった。
「ぼ、僕ですか?」
『そうだ。この女を知っているか?』
「い…いえ…」
男が見せてきた写真を見ると、それは自分が通っている学校の女子生徒の写真だった。
名前は知らないけどよく見かける子だ。
しかし彼女が一体何だというのか。
『……ふむ。まあいいだろう』
男は少し考えたあと、納得したように言った。
そして懐に手を入れる。するとその人は去り際に
『あいつがくる』と言い残し消えた。
(あいつが、来た)
自分はその日の夜考えていた。
(人を啄むカラス………。
待てよ…あの人は言ってたっけ…
「人を啄むカラスはすぐ殺せ」
…人を啄むカラスはすぐ殺せ⁉︎
待てよ…自分が見たのは確かに烏だったけど、もしかしたら……)と下に降りて両親に知らせようとしたが遅かった。
両親の死体の前にいたのは人間の形をした、人外の化け物。
その身体は塗りつぶされたように真っ黒だった。
その腐ってただれた身体には人間で言う左腕が無かったが、そのかわり右腕の動きが異常だった。その動きをどう言い表せばいいか分からない。
多分、どんな単語を組み合わせても表現できない
そいつはまさにジンカンだった。
(襲いくるジンカン)
「なにこいつ……」
僕は目の前にいる怪物にびっくりした。
と次の瞬間ジンカンは自分に気がついたのかその顔を人間では考えられない角度にぐるりと回転させ、明らかに自分に狙いを定めた。
別の意味で怖い
なんだ、これ?