ジンカン(再び)
投稿者:菊地@春樹EXE (4)
昔自分の学校に転校して来た人は自分に対して
「人を啄むカラスはすぐ殺せ」と言って来た。
「でも、そんなカラス見たことないよ。カラスは、人間が近づくと逃げて行くよ?」
「見たことがないなら、いい。だけど、見つけたらすぐ殺せ」
「……なんで?」
「……」と奇妙なことを聞いた。
これはジンカンと言われる一種の都市伝説なのだが自分は信じていなかった。しかし自分はこの言葉の意味を身をもって理解することになった…。
そして自分は友達のノートに書かれた絵を見た。
ノートの四ページに書かれた絵を見ると
墨で描かれた真っ黒な鳥。その鳥がつくる漆黒の巣。その巣から産まれる真っ黒な卵。
その卵が割れると、そこから血しぶきをあげる真っ黒な……人間?
周りに描かれた『普通の』人間を、その黒い人間が蹂躙している。俗な言い方をすると、ぶっ殺している。
そして最後は、その黒い人間は小さな無数の蜘蛛に囲まれ、大きく両腕を広げていた。
信じる信じないとかではなくて、それ以前の問題だった。
ただ、その絵が正常な人間が描いたものではないことぐらい、美術2の俺にもわかっただけだ。
「何この絵、気持ちわり」
と笑った自分だがこの意味を知らなかっただけであった。
(遭遇)
ある日の帰り道自分は草むらにカラスが集まっているのを見つけた。
「あ、カラスだ」
思わず声を出してしまったが、どうやら気づかれた様子はない。
鳥って綺麗な羽してるよなぁ。
そういえば昔飼っていた金魚が死んだときも、近所の野良猫がたくさん集まってきて……。
そんなことを思いながら近づいてみて自分は絶句した。人が死んでいる。
それも明らかに死んでから時間が経っているような死体だったのだ。
なんでこんなところに……?
恐ろしくなってその場を立ち去ろうとしたそのとき、誰かの声が聞こえた気がした。
『おい、お前』
驚いて振り向くとそこには黒い服に身を包んだ人がいた。年は40代だろうか?
別の意味で怖い
なんだ、これ?