シカトの理由は
投稿者:とくのしん (65)
私は口うるさい。俗にいうおてんばの類だ。裏表がない性格だが、男子顔負けの口の悪さと態度のデカさでトラブルも絶えない。それ故、好き嫌いがはっきりされるタイプだ。
中学の林間学校の前日に仲のいい女子グループ同士でいざこざがあり、そもそもの発端は私でないのに、私をよく思っていないヤツらから槍玉に挙げられた。一番仲のいい真紀ちゃんも連中に引っ張られ、私から距離を置く始末。あぁマジ最悪。
そんなことがあって林間学校には行くつもりがなかった。いつもより早くおかんに起こされ、早く支度しろという言葉に私は行かないと言い放った。部屋に来たおかんが私の頭をひっぱたく。つべこべ言わずに早くしな!と首根っこ掴まれて洗面所に連れていかれた。
猫じゃないんだから・・・扱い雑すぎるわ。
超絶嫌々学校に行くと校庭に生徒が集まっている。私は最後の方に来たため、否が応でも目立っていた。昨日のいざこざがあったグループ数人がニヤニヤと私を見ている。マジでムカツク!真紀ちゃんはバツの悪そうな顔をしながら、私に小さく手を振っていた。
先生のつまんない話を延々と聞いたあと、バスに乗り込む。私の隣は真紀ちゃん。
窓際に座ってムスっとしていた私に真紀ちゃんは昨日はごめんね、と小声で謝ってきた。キットカットくれたので許してあげた。
私の周りは仲のいい友達で固まっていたことから、なんだかんだ大騒ぎして楽しんでた。先生から注意されるも何のその。目的地までどんちゃん騒ぎしていた。目的地の半分くらいまで来たのかな?途中のサービスエリアに寄ったときに、真紀ちゃんや明日香ちゃん、めぐみちゃんが夜肝試ししようと提案してきた。断る理由もないからもち即オッケー。
朝早かったのと騒ぎ過ぎたせいか、私はいつの間にか爆睡していた。
目が覚めると目的地のキャンプ場についていた。バスから降りるとあたりは昼というのに薄暗く、霧がかかったような雰囲気が気味悪く感じた。そんな中を先生のあとについて生徒がぞろぞろと行進するように進んでいく。
「なんか怖い場所ね」
私の一問いかけに真紀ちゃんは無言。おーいと話かけても言葉を返してこなかった。
また例の連中に何かそそのかされたなと私は思った。割り振られたバンガローに荷物を置きに行っても真紀ちゃんはシカトを続けた。明日香ちゃんもめぐみちゃんも私が話しかけても無視。それ以外のクラスメイトも徹底的に私を無視するようになっていた。
(やられた・・・)
例の連中もなかなかの曲者揃いだから、私が寝ている間に根回しして孤立させたんだチクショー。自由時間の間、私はポツンと一人バンガローの中で過ごした。悔しくて涙が出た。
夕飯の時間になってもシカトは続き、出てきた料理なんて味も匂いもしない。
キャンプファイヤーを囲んでいたときも、私は一人膝を抱えていた。来るんじゃなかったなぁと何度も涙を拭った。
キャンプファイヤーを眺めていたら、一人また一人消えていく。
あぁ、お開きの時間かぁと思って立ち上がると真紀ちゃん、明日香ちゃん、めぐみちゃんの3人が林の中に歩いていく。そういや肝試しに行くんだっけと思った私は戸惑いながらも、誰の目も届かない場所なら話をしてくれると思ってあとをつけた。
気が向かない部分もあったけど、さすがに昼間からずっと総スカンはキツかったし、誰かと話したかったから3人についていった。3人は無言のまま固まって歩いていく。
「ねえ!」
思い切って私は3人に声をかけた。しかし聞こえているのかいないのか、反応はない。
さすがにこれには頭にきて、声を荒げた。
「いい加減にしろよ!何が気に食わないんだよ!」
私がキレても3人は徹底的に無視を決め込んだ。ぶっちーん!私は3人の前に立ちはだかる。
「・・・かおりちゃん、なんでいるの?」
ようやく真紀ちゃんが口を開いた。やっと出た一言が”なんでいるの?”はぁ?つうかその言い草無くね?
「何その言い方、言いたいことがあんならはっきり言えよ!」
我ながらなかなかな剣幕だったと思う。その迫力に気圧されたのか、3人はお互いの顔を見合わせて何か言いたそうにしていた。煮え切らない態度に私の怒りはMAXを迎える。
怖いよ。文章というか
その気性の荒らさが。
もう少し落ち着いて