「こっ・・・。こっち・・・。こっちこ・・。
こっちこい。こっちこい。こっちこい!」
奴の顔が完全に上がった
満面の笑みを浮かべ、血走った目で俺を見つめている
「うわああああああ」
俺は大声を出してエスカレーターを逆走した
とにかく急いで上がった
すぐに息が切れたが止まるわけにはいかなかった
声はずっと聞こえてくる
「こっちこい!! こっちこい!!!」
もはや声は耳元で聞こえる
横を見たら奴がいるかのようだ
俺は目をつぶり、必死で駆け上った
足がおかしくなるかってところで、どうにか入り口まで登りきることができた
俺は外に飛び出し、ひたすら走り、気が付いたら大通りに出ていた
人が大勢いて、ようやく落ち着くことができた
どうやら逃げ切れたようだ
あの男はどこにもいなかった
「はぁはぁはぁ」
俺は大汗をかいて全身びっしょりだった
それから一週間、俺は熱を出して寝込んでいた
幸い一週間後には体調がよくなり、会社に行けるようになった
それから奴には会っていない
あの駅にはいかないようにしている
それと、俺はあれからエスカレーターには乗らないようにしている
次乗ったら、またあの声が聞こえてくるような気がするからだ
「こっちこい!!!」
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