エスカレーター

2週間前の話だ
俺は都内で働くサラリーマンなんだが
仕事帰りに前から行きたかった評判のラーメン屋に行ったんだ
味は・・・まあまあ上手い程度
で、その後にヒトカラ行って、時刻は23時
そろそろ帰るかと俺は駅に向かった
その駅は今日初めて降りたんだけど、駅への入り口すぐに下りの
エスカレーターがあるのね

それがものすごく深いんだ
ずっっっと下に降りるかんじ

別に大きな駅でもないのにこんな地下にする意味あるのか？

と思いながらも、俺はスマホ出して友達にlineの返事をしてた

で、一通り送り返して、前を向いたらまだ着かない

というか、まだ一番下がよく見えない

おいおい。どんだけ降りるんだよ
って思った時、何かがおかしいことに気づいた

周りに誰もいないんだ
下りも上りも
エスカレーターに誰も乗っていない

この駅は繁華街からは少し離れているが、それにしたって都内で誰もいない
なんてことあるか？

俺は恐怖を感じたが、一度エスカレーターに乗ってしまった以上どうしようもなかった

それから少しして、ようやく下が見えてきた

そこには人がいた
エスカレーターの左右の動くハンドレールにそれぞれ手を乗せて、俺を待ち構える形でスーツ姿のの男が下を向いて立っているのだ

なんだこいつ？

明らかに普通じゃない
奴はずっと下を向いて、微動だにせずエスカレーターの出口で待っている
俺はそんな奴に近づきたくなかったが、俺の身体はどんどん奴に近づいていっている

「・・・・」
何か言っている
最初は何を言っているのか聞こえなかったが、だんだん声が大きくなっていった

「こ・・・・。こ・・・・」
声が大きくなるにつれ、奴は顔をゆっくりと上げていく