冷蔵庫の中

それが30年以上も経ったらどうなるだろうか？
興味があった

碌な状態になっていないのは確かだ
だが、こんな経験は今後まずないだろう
ただ捨てるのはもったいない気がした

俺はまず包みを揺すってみた

カサカサ
紙がこすれる音がする
確かな重みがある

中はからっぽということはなさそうだ

何かは確実に入っている

俺は意を決して包みを開けてみることにした
5、6枚の紙に包まれているみたいだ
一枚一枚ゆっくりと開けていく

その時、信じられないことが起きた

ガサッ

包みが動いたのだ

え？

気のせいではない
確かに動いた

正確には包まれた何かが動いた

どういうことだ？
中に入っているのは何かの生き物なのか

ここで俺はもしかしたらとんでもない見当違いをしている可能性があることに気付いた

包みは和風なカンジでシールには賞味期限昭和60年とある
しかし、中身が元々その包みの中にあったものとは限らない

紙を再利用したのかもしれない
中身が食べ物かどうかはわからない

俺はぞっとした
中に何かの生き物がいる
その生き物はずっと包みに包まれたままで今も生きているのだ