蝦蟇に行ったら取り憑かれた話
投稿者:祈 (1)
と、再び例の友人が。
「え?」
しかし誰も壁を叩いていません。
トランプをしながらも、みんなで壁なんて叩いてないよね?などと話しつつ、壁のほうに視線を向けることもあったので。
でも、普段その友人が嘘をつくようなタイプではないですし(むしろ思ったことをド直球にいうタイプ)、言い方からして本気が伝わってきて、場が一気に凍りつきました。
しかし、幽霊を見たわけでもないので真相は分からず…
とりあえず、怖いのでみんなでリビングで雑魚寝をして一晩明かしました。
何事もなく、2日目、3日は別のホテルでの宿泊で、コテージの件は不思議体験止まりとなりました。
むしろ、観光なども満喫して、その件を考えることもなく平穏な時間をすごしていました。
しかし学校の修学旅行、もちろん遊びばかりではありません。
沖縄といえば、戦争で多くの犠牲が出た土地でもあります。
3泊4日の日程の最終日に組み込まれたのが、戦争の歴史学習。
戦争の語り部の方が記憶をもとに生の実体験を語ってくださったり、戦争で犠牲になった方々を祀るヒメユリの塔を訪れたりと、旅行で満たされていた気持ちが一気に沈むような最終日を過ごしていました。
そんなどんよりとした気持ちで、最後に行く先は蝦蟇でした。
蝦蟇はいわゆる防空壕で、戦火を逃れるために多くの人が避難していた場所です。
沖縄は唯一陸上戦があった地でもあり、数多くの犠牲者が出ています。もちろん、その蝦蟇でも。
蝦蟇は自然にできた洞窟で、足場は悪く、整備はロープが張られている程度。薄暗いので、クラスごとに一列に並びゆっくりと進む流れでした。
薄暗い空間で、沖縄にしては肌寒い感じはありましたが洞窟ならばこの気温だろうし、問題なく進みきり、蝦蟇を後に。
…しようとすると、一気に気持ち悪さが込み上げてきました。
それまでは体調の悪さは一切なく、移動のバスの中では沖縄らしいさとうきび畑が広がる光景にテンションが上がったくらいの余裕がありました。
しかし、なぜか蝦蟇を出た瞬間に気持ち悪くなりました。
吐くわけでもなく、ただただ、とてつもなく気持ち悪かったです。
少し外の空気を吸えば良くなるかなと思い、深呼吸をするも何も改善せず…。
最終日なので飛行機の時間もあります。
スケジュールとしてはバスの中で昼食(弁当)をたべて、空港に直行、東京行きの飛行機にのり帰宅していくという流れでした。
気持ち悪いままバスに乗り込みました。
心配してくれた周りの友人からは、
「大丈夫?」
など、声をかけてもらった記憶がありますが、喋り返す余裕もなく、とりあえず頷いていたような気がします。
冷や汗もかき、座席ににうずくまっていると、弁当が支給されました。
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