タカヤ君のお通夜
投稿者:ねこきち (21)
小学校の同級生で友達だったタカヤ君が亡くなった。
最近は連絡も取り合ってなかったけど、昔は互いの家にお泊まりをしたりする仲だった。
僕たちまだ23歳なのに。
数年前地元の成人式で久々に会った時は元気だったのに。
そんなことを考えながら、通夜に向かった。
葬儀場に着くと、弔問客はもう殆どいなかった。
タカヤ君のお母さんは俺を見ると、お久しぶり、タカヤに最後に会いに来てくれてありがとうと、泣きながら深々と頭を下げた。憔悴した様子のタカヤ君のお母さんにかける言葉もなく、僕はただ連られて涙を流すばかりだった。
タカヤを見てあげてと言われ、棺の前に案内された。
棺の中を覗くと、中は空っぽだった。
困惑していると、タカヤ君のお母さんが「タカヤに会いたいでしょう」と言い僕の手を握った。
手に込められた力の強さと鬼気迫るタカヤ君のお母さんの顔に、僕は思わずやめてください!と大声で叫んだ。
やめてください!という自分の大声で僕は目が醒めた。
全身がぐっしょりと汗にまみれていた。
時間を確かめようとスマホを手に取ると、母親から珍しくLINEのメッセージが来ていた。
「タカヤ君のお母さんが昨夜亡くなったそうです。小学生の頃よくお世話になってたね。お母さん、お通夜に行ってきます」
母親からのメッセージを読んでいる内に頭の中が整理されて、さっきまで見ていた夢を思い出すと、僕は背中に冷たい汗が流れるのを感じた。
そう言えばタカヤ君が亡くなってもう10年経つんだな、と思った。
面白かったです。