行きはよいよい帰りは怖い
投稿者:ぴ (414)
通りゃんせの歌ってご存じですか。
よく知られている日本のわらべ歌です。
私はどこから仕入れたのかよくこの歌を歌って、近所の子たちと遊んでいました。
大人になると歌詞に興味を持ちますが、子供の頃って歌詞に注目して歌うことって、あまりしないと思います。
私も子供の頃に歌の歌詞を気にしたことなどありませんでした。
そんな子供でも、なんとなくこの歌が怖いというのはひしひし感じるものがありました。
歌いながら、うっすら寒気がすることもあるくらい不安になる怖い歌という認識はありました。
それでもみんなで遊ぶときは、よくこの歌を歌って遊んでいたのです。
私には小さい頃からよく遊んでいた幼馴染がいました。
1人はとても気の弱い女の子で、もう1人はガキ大将のような強い男の子です。
二人とも全く違うタイプでしたが、なぜか仲が良かったです。
もし、あんなことがなかったら、今も3人で仲良くしていたのではないかと思うくらいでした。
あの日のことは、今も記憶に残っています。
私たちはその日、入ってはいけない場所に入ってしまったのです。
その頃、秘密基地を作ることが私たちの流行りの遊びでした。
その秘密基地を探すために、山を登ったり、川を下ったり、様々な方法でいい場所を探しました。
そして幼馴染の健太が見つけたのが一面緑の葉が生い茂る場所でした。
迷子になってしまいそうなくらい同じ葉がびっしり生えていて、そこに秘密基地を作ろうという話になりました。
私とサナちゃんは健太の言う通り、枝を集めて秘密基地っぽい遊び場を作り始めました。
途中までこのように秘密基地づくりに勤しんでいたと思います。
そんなときに、健太が不思議な木を見つけました。
こっちに来いと言われ、サナちゃんが真っ先にそっちに行きました。
私は秘密基地づくりで疲れていたので、ちょっと遅れて仕方なさそうにそっちに向かったのです。
その木は周りの木とは全然違うがっしりと頑丈そうな幹をしていました。
そして人工的に作ったようなしめ縄をしており、とても力強く神秘的に見えました。
二人はその木がいたく気に入ったのかうっとりと魅入っているようでした。
でも私は二人とは違って、なんとなく嫌な予感をひしひしと感じていました。
なんというか奇妙で、不安感を煽るように見えたのです。
おそらくそう思っていたのはあの中で、私一人だったと思います。
健太は一旦秘密基地づくりをやめて、その木の周りを詮索していました。
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