峠に消えた女
投稿者:satori (2)
タクシーに乗った時に運転手から聞いた話です。
市内の繁華街で夜、女性のお客を1人乗せたそうです。
その女性に行き先を尋ねると、県境のとある峠へ向かうように言われました。
日を跨ごうとしているような時間に、そんな場所に行くなんて奇妙だと思いつつも峠へ向かって車を走らせました。
繁華街から峠までおおよそ1時間、民家の明かりも見えなくなった峠道の途中で、その女性は「ここで下ります」と言ったそうです。
外灯も民家もなく、進行方向左側は急勾配で草木が多い茂っており、右側は反対車線とガードレール、その先は崖になっているような場所でした。
私自身もドライブが好きでその道は何度も通ったことがあったので、運転手の話を聞きながらゾッとし始めました。
その女性は代金を現金で運転手に支払い、何もないその場所で下りたそうです。
運転手の声掛けにも答えずに。
運転手も知らないとこにもしかしたら、民家があったのかもしれないとも考え、車をUターンさせて、ミラーで女性が闇に消えていくのを見ながら市内方面へ走ったそうです。
やはりその女性が気になって、万が一のことがあったらと思い再度Uターンして女性を下した場所に戻りました。
しかし、そこにはすでに女性はおらず、先の方まで車を走らせてみたもののどこにも見当たらなかったそうです。
まさか幽霊?とも思ったそうですが、市内に戻り、精算するとその女性からもしっかり代金いただいてたので、まさか崖から…と考えてしまいました。
しかし、その翌日から数日経っても、その峠での事故や事件のニュースは流れませんでした。
あの女性は一体どこに消えたのか。存命の方なのか、それとも…?
タクシーの運転手のおじさんが体験した一番怖かったお客さんのお話でした。
私も終電逃した時間帯だったので、お酒の酔いもスンと引いてしまいました。
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