火遊び
投稿者:みやび (3)
空気が乾燥してきた秋のこと。
燃やす紙も、灯油などの燃料もなく、ただ軽い気持ちで、枯れ葉や木々を燃やしていきます。
4人も居るし、燃やす資源は切れずに集まってきます。
火の燃やし方も、理科の授業で習い、知っています。
始めこそ、小さな焚き火でしたが、だんだん火が大きくなり、風も強くなり、わたくし達の手に負えない大火に変わっていきました。
足で踏んで消せるような火じゃないっ!
子ども心に、危機感を感じました。
原っぱには水場もなく、数日前に降った雨の、小さな水たまりしかありません。
逃げよう!と、誰かが言い出します。
すると兄は、自分の着ていた服の上着を脱ぎ、水たまりにつけると、火の上に被せました。
「こうやって、火を消すしかないだろう!」
火の端っこ辺りを、バンバンと叩きます。
わたくしも、ヒラヒラしたブラウスの上に着ていた上着を脱ぎ、兄を真似ます。
同級生にもやるよう呼びかけましたが、洋服を濡らしちゃいけないから、と断られました。
小さな水たまりの水は、2人分の洋服に吸い取られて無くなってしまいました。
「もうダメだ、逃げよう」
兄が言い、わたくし達は4人で、住宅街側ではなく、学校側に走って逃げました。
火が大きくなり、存在に気づいた周辺住民が騒ぎ始めていたからです。
「原っぱから火事だ、消防車を呼べ!」
自転車に乗って、人気のない道へ逃げたわたくし達は、捕まることなく、それぞれの自宅へと帰り着きました。
この原っぱ火事の犯人とバレることはありませんでした。
せいぜい、クリーニングに出さねばならない衣服を汚した事を、母に叱られた程度です。
その時は珍しく、兄が庇ってくれました。
数日後、原っぱの前を通ると、痛々しい焼け跡が広がっています。
兄の火遊びは、この経験を境に、指示されなくなりました。
他の事は、その後も変わらず命令されましたが、本人なりに反省したのかもしれません。
5年、10年後、兄は別の火遊び(大人の)に夢中となります。
そして妹は、火遊びに拒否反応を示すようになってしまいました。
この間にも、”火に対する恐怖” を植え付けられたからかもしれませんね。
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。