くだんの狂気
投稿者:コオリノ (3)
「戻るぞ……」
と、ボソリと言って立ち上がった。
牛舎を後にした俺達は家へと戻った。
お前は部屋にいろと言われ大人しくしていたが、やがて誰かが来たのか、外に何台かの車のエンジン音が響いた。
窓越しにカーテンの隙間から外を見ると、見慣れた軽トラが何台か見て取れる。
この地域は田んぼや家と同じ牛舎ばかりで、広い土地だが住んでいる人間は少ない。
それも若いのは俺ぐらいで、他は年寄りばかりだ。
家にやってきた連中も、どうやら顔なじみばかりのようだ。
俺は一体何か始まるんだと気になり、こっそり部屋を抜け出した。
居間の近くまで行くと、
「本当に見たのか……?」
安田さんの声だ。
爺ちゃんの幼なじみで、同じく酪農を営んでいる。
「間違いねえ……ありゃ件だ……」
「ふぅ……」
爺ちゃんの言葉に、周りからどよめきとため息が聞こえてくる。
「逃げろって事は、何かが起こるってえのか?」
「分からん、何が起こるかは教えてくれんかった。高いとこ、やば……山の高いとこさ逃げなきゃとか何とか、言ってたな……」
「高いとこ……?ここらじゃ高いとこって、展望台があるあの裏山しかないだろ」
「んだな……だけど逃げろって……」
爺ちゃんがそう言うと、周りからそれに同調するかのように声が挙がった。
「そ、そうだ!俺達はずっとこの土地に住んできたんだ!今更畑も牛も、見捨てて逃げるわけにいかねえ!」
「ああ!俺もだ!」
「だけどなあ……」
安田さんが皆をなだめるように声をかけている。
くだん……?
俺は急いで部屋に戻ると、自室のノートパソコンを開き、くだんを検索した。
かなりの数がヒットしたが、その中でも目に付いたものをピックアップして読み進めていると、以下のような事がまとめて分かった。
1860年頃に、とある家屋にて、牛から産まれた半人半獣の生き物だったと報告がされているらしい。
産まれて直ぐに何らかの予言、主に災害や疫病等らしいが、その予言をした後、直ぐに息絶えるという妖怪……。
むちゃくちゃ怖い。過去一の怖い話かもしれない・・・
件とにた妖怪で「禍(か)」と言うのが居るらしい
こっちは予言ではなく、土砂崩れ等災害が起こる地域で直前に現れるとか
面白かった!
たまに目撃されるって言うけどいつも災害の後に話題になりますよね
書くのうますぎ。読みやすくてすごく怖かったし面白かった
くだんは伝承の中でも真実味が高いと自分は思っています。
くだんって爺ちゃん達恨んでたん?