視線
投稿者:ぴ (414)
ふと視線を感じるようになったのはいつのことだったでしょうか。
いつ頃からか私は、ふとしたときに人に見られているような視線を感じて、精神的に参っていました。
私には当時、婚約している恋人がいて、その人頼りでした。
「誰かに見られている気がする」と相談すると、その度に婚約者には「気のせいだよ」と宥められました。けれど、どうしても気のせいとは思えなかったのです。
私の婚約者はすごく誠実で、とても精悍な人でした。
容姿もほどよく整い、お仕事もIT関係の仕事をしているのですが、金銭的にも恵まれた人で、周りの友人からもとても羨まれました。
私も運よく縁を結べて、とてもラッキーだと思ったし、性格の相性もとても良かったのです。
周りから見れたおそらく幸せいっぱいに見えたことでしょう。だけど彼には一つだけ欠点がありました。というのも、不思議な魅力で異性からモテすぎてしまうという欠点があったのです。
こんなところを欠点とは言わないと鬱陶しい気持ちになる人もいるかもしれません。
恋人自慢と思われる人もいるかもしれません。
でも私には彼のそこが欠点に見えました。彼は別に口説いているわけでもないのに、不思議と女性から興味や関心をもたれて好かれます。
ただ私という婚約者がいるというじゃないですか。そしたらその女性は私に敵意を持って接してきて、そのような形で様々な女性とのトラブルが起こりました。
私に直接会いに来て、「どうか別れてほしい」と頼んでくるツワモノもいました。
ただそれはまだ可愛いほうです。音声変換して私に電話をしてきて、「別れないと恐ろしい目に遭う」と脅してくる女性もいました。
彼と婚約してからはこんな事件が数多く起こって、私は不安になりました。
その度に彼は「何かあったら僕が守るから」と言ってくれるのですが、なんだか信じきれないものがありました。
そんな頃に、このように視線を感じるようになって、私は最初また女絡みなのだろうなと思っていました。
そしてまた変な事件に巻き込まれないかと気が気じゃなかったです。
このようなストレスもたんまり溜まっていたので、仕事終わりに同僚と飲みに行ったのです。
そしたら、またあの視線を感じて私はハッとしました。さり気なくを装って視線の先を探ってみてやっと相手が分かりました。
でもその相手というのが若い女性ではなく、50代くらいの年配の女性であることに驚きました。
その女性は私のことを穴が開くくらいじぃっと見ているのです。
怖いくらい厳しい目で見てくるので、私にあまりいい感情を持っていない人だと分かりました。
そしてその人から逃れるために、さり気なく同僚を別の店に誘って居酒屋の梯子することにしました。
しかし、次の店でもぎくっとする視線を感じました。
私は慌てて周りをちらっと伺ってみて驚きました。なぜなら次の店にも同じ女性が着いてきていたからです。
ついびっくりして見すぎてしまったのか、うっかり目が合ってしまって、私は慌てて目を逸らしました。
その日は怖くて、早めに切り上げてタクシーで家まで帰りました。
そして帰宅してすぐに、婚約者に電話をしました。視線を感じて知らない女性に見られていたことを婚約者に話しました。
そしたらすごく心配をしてくれて、次の日から頻繁に私の家に訪ねてきてくれるようになりました。
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