気づいたら隙間ができるアパート
投稿者:ぴ (414)
それから何度か同じようなことがありました。
気づいたら知らない間に戸が開いていて、隙間ができているのです。
開けた記憶もないし、開いた音もしません。で
もハッと気づいたら開いているのです。
しかも、毎回同じくらいちょっとだけ開いて、そのせいでちょっとだけ隙間ができます。
その小さな隙間が妙に怖くて、気持ち悪くて、たまらなかったです。
次第にだんだんと怖くなってきて、母や親友に相談しました。
そしたら親友の一人が「今度泊りにいこうか?」と言ってくれて、私はその言葉に甘えることにしたのです。
その子は昔からたまに変なものを見たりとかすることがあり、ちょっと霊感があるタイプの子でした。
だからおそらく気は進まなかったと思います。けれど私のために、家に泊まりに来てくれたのでした。
アパートに招いたときは、友達は特に何も感じていないようでした。
「いい家だね」と普通にアパートを褒めてくれました。
アパートに住むにあたって、何度も見学に来て吟味したので、日当たりもいいし、風通しもよく、見た目もおしゃれだし、とてもいいアパートだと私も思っていました。
素直に褒めてくれたことは嬉しかったし、その子が何も感じてなさそうなのにも一安心しました。
来て早々に「ここから引っ越して」なんて言われたら怖すぎますからね。
深夜まで特に何もなかったです。
時折起こる戸が開いているなんて現象もまったく起こらなくて、てっきり今日は何もなく終わると思っていました。
まさか深夜眠ろうとしたときに、親友が叫び声をあげるなんて想像もできなかったです。
そろそろ寝ようかと声をかけて寝る準備をしていたら隣で「ぎゃあ」と叫ばれたときは、心臓が止まるかと思いました。
それくらい本当にびっくりな耳をつんざくような声で、私はぎょっとしましたね。「え、何!?」と私が慌ててその子を見ると、今まで見たこともないくらいに真っ青な顔をしていました。
異様な表情のその子の視線の先を辿ってみると、戸が開いていつもの隙間ができていました。
私が「あ、そうそう、これなの!」と言って、戸に近づいて行って閉めようとしました。
そしたら思いっきり腕を引っ張られ、「だめだめだめだめ」と夢中で引き止められたのです。
私の腕を掴んでいるその子は尋常でなくぶるぶる震えていて、異様でした。
正直戸に隙間ができるよりも、この子の反応がホラー的に怖かったです。
その後、友達は何を聞いてもうんともすんとも何も答えてくれなくて、しばらく膠着状態でした。
ずっと隙間のところは見ているのです。
でも微動だにせずにそれを続けている親友に、なんだかこっちまで恐怖が押し寄せてきて、何も見えてないことがまた怖かったです。
それからどれくらい経ったのか分かりません。びっくりするようなことがあったのです。
隙間が開いていたその戸が夜中の風もなにもふいていないというのに、フッと動いて次の瞬間バタンと音を立てて閉まったのです。
「ええ?」と思わず声が漏れたし、背筋がぞっとしました。
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