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呪い・祟り

足が太いさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

絵の中の女性
長編 2022/03/13 21:23 4,823view
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私は新しいものより、ちょっと古いもの、いわゆるアンティークなものが好きで、よくアンティークを取り扱うお店へ行っては海外の古い家具や雑貨を買っていました。

ある時、よく行くアンティークショップで絵画を見つけたんです。
A4用紙くらいの大きさで、金縁の立派な額縁に入っていて、女性の絵が描かれていました。
青い目に赤毛の、欧米人だと思われる女性が、こちらを振り向こうとしている瞬間を描きとめた絵。
画家のサインが入っていたけれど恐らく無名だし、正直言ってそこまで上手いとは思えない絵でしたが、何故か描かれている女性から目が離せないんです。
5000円と、すぐに買える値段ということもあり、好奇心のまま買ってしまいました。

家に帰ってリビングの壁にその絵をかけて、もう一度じっくり眺めてみると、やっぱり、味がある良い絵だと思いました。
何て言うか、これを描いた人の想い、魂がこもっているように感じるんですよね。
私はすっかり気に入って、事あるごとにその絵を眺めて過ごしました。

絵を購入して1ヶ月くらい経ったあたりに、友達が泊まりに来たんです。

友達も気に入るだろうと思って「見て見て、雰囲気があって良い絵でしょ」と、リビングに飾ってあった絵を紹介したんですが…。
友達は、絵をチラッと見たもののすぐに目を逸らし、「うーん…」と唸って、その後は虚空を見つめながら考え込んでしまいました。

どうしたのか聞いても、友達は「えーと」「まぁ…いいのかな…」などぶつぶつ呟くばかり。
一度視線をやっただけで、それ以降は決して絵の方を見ようとしないのです。
友達のそんなよそよそしい態度は初めてで、私は戸惑ってしまいました。

変な空気を変えようと思い、また、ちょうど良い時間だったので、「夕食の準備でもしよっか」と言って、私はキッチンへ行きました。
そして冷蔵庫から準備しておいた惣菜を取り出して皿に盛りつけていると、リビングの方で何やら物音がするんです。
一体何だろうと、作業を途中で切り上げてリビングに様子を見に行くと、友達が絵を裏返しにしていました。

私「な、何してるの!?」
友達「えっと、これは…」

私「そんなにこの絵が嫌い?言ってくれたら他の部屋に置くか何かしたのに…」
友達「ごめんね、言うべきか迷ったんだけど…私の勘違いだったらあれだし…」

友達は裏返しにした絵をチラチラと見ながら、言葉を濁します。

私が「気になるから何かあるなら言って」と言うと、友達はようやく重い口を開きました。
友達「あの絵の女の人…、変じゃない?」
私「変って?確かに、あまり上手いとは思えない絵だけど…」
友達「そうじゃなくて、その、私達が動く方向に女の人の視線がついてくるというか…」

友達が言うには、私達が右に動けば右に、左に動けば左に、絵の女性の目が動くんだそうです。
何度も絵を眺めていましたが、そんなことが起きたことは一度もありません。
そう言うと、友達は「じゃあ私の勘違いだったかも、ごめんね」ともう一度謝ってくれましたが、結局友達が帰るまで絵は裏返しになったままでした。

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コメント(2)
  • 「うのろ」は呪うって意味じゃないっすかね

    2022/06/13/21:15
  • 絵は、気持ちを込めて書くものだから念みたいなものがはいってしまうのかも。見ていて癒されたり楽しくなるものを飾った方がいいですね。

    2023/07/08/21:18

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