本当は怖いパワーストーン「モルダヴァイト」

私の友達の一人が「モルダヴァイト」というパワーストーン（お守り石）を持っていました。
モルダヴァイトとは隕石によってできたと言われている深緑のガラス質の石で、これを持ちながら瞑想すると「モルダヴァイトフラッシュ」と呼ばれる状態（のぼせ、熱感、浮遊感）になるくらいパワフルな石だと言われています。
そしてその友達は、その状態をぜひ体験してみたいと大枚をはたいてその石を買ったのでした。

しかし、いざそうしてみても反応はまったくなし。
その後何度も瞑想をやってみましたが、モルダヴァイトフラッシュなる現象はまったく起こりませんでした。
それどころか幸運らしい幸運が呼び込まれることもなく、むしろその友達の生活はどんどん追い込まれていきました。

モルダヴァイトのパワー、「潜在能力を開花させる」、「霊能力に目覚めさせる」、「宇宙とのつながりを強くする」などの効能を期待していた彼は首をかしげ、そして嘆きました。
これよりずっと安いブルーレースアゲート（青メノウ）やフローライト（蛍石）の時は分かりやすい効果があったのに、こいつは自分を助けてくれないのかと。
しかも時が経つにつれ状況は他のパワーストーンではどうにもならないほどどんどん悪くなっていきました。
貯金はほとんど0になり、仕事はなくなりました。

家族仲も険悪になり、生活保護を申請するも弾かれる始末。
ついには彼は自殺を考えるようにまでなりました。

しかし私に説得されなんとか思いとどまり、そこから死ぬ気で彼にできる様々なことを来る日も来る日も狂ったようにこなしました。
そしてその結果、モルダヴァイトの効能通り彼の潜在能力が開花し、コピーライターとしてなんとか暮らしていけるだけの収入を得られるようになりました。

彼は結局、この石のことを「スパルタな石」と呼ぶようになりました。
確かに前の仕事は給料は今より良いにせよ退屈なものでしたし、このまま行けば仕事もロクにしない、しかし人のうわさ話や権力闘争には熱心なオッサンになるのかなとも思っていたそうなのですが、ちょっとこれはやりすぎな気もします。
もしかするとちょっと何かが違ったら彼はこの試練に耐えられなかったかもしれません。
パワーストーンは人の不思議で良き友人ではありますが、ただ単にパワフルであればいいだとか高ければいいだとかそういうわけではないということを実体験で思い知ることができた出来事でした。
普通の道具と同じように、パワフルな石は場合によっては怖い結果を引き起こしかねないのです。
そういう石を持つなら、人間側にもそれ相応の力が求められます。