不思議の国のアリス症候群
投稿者:アマリリス (3)
私達は奇妙な石像を一瞥し洞窟へ侵入する。
いや、よくよく見れば人と手で作られたトンネルだろうか。
随分と苔と草木に侵略されているが、間違いなくトンネルだ。
湿った土を踏み込み、十メートルに満たないトンネルを抜ける。
「は?」
全員が思わず声を発した。
トンネルの出口は高台にあるらしく、雑草が揺れる草原の階下には集落と思しき家屋が建ち並んでいる。
至るところに木材で組み立てた松明が篝火のように火を灯しており、私達のいる高台からはちょうど集落の外観がよく観察できた。
「人が住んでんのかな?」
こんな山奥で生活しているのか?
私は妙なざわめきを覚えながらも、人の気配がない集落をぼんやりと眺めていた。
「ちょっと聞いてみる?キャンプ場までの戻りかた知ってるかもよ」
先程まで不安げにしていたA子が笑顔を弾ませていた。
不思議な空洞、その穴に落ちたらまるで違う世界が広がり、更に人が生活している集落を見つける。
この絵本のような出来事に私も胸が躍らないわけじゃない。
「あ、人じゃね?第一村人」
Cが指差す方を見やると、確かに人間らしき人影が二足歩行している。
だが、何か違和感があるのは気のせいだろうか。
正確な距離感はわからないが、この高台から数百メートルは離れているだろう。
ここからでもわかる通り、第一村人の動きがおかしいのだ。
「踊ってんのかな?ちょっと近づいてみるか」
ぐにゃり、ぐにゃり、と不規則な動きを続ける村人。
Cの言う通り、道を訊ねるにせよここは遠すぎる。
私達は小枝が混じる雑草を踏み、集落へと向かうことにした。
相変わらず森林というかジャングルというか、誰も踏みいってないことがうかがい知れる鬱蒼とした草木を掻き分け、私達は麓へ降りる。
すると太鼓の音が空気を振動させた。
ドン、ドン、ドドン、ドドドドド
何やら祭りでも始まるのか、盛大な導入のもと太鼓は幾重にも重なり地震のように産声をあげる。
この事から少なくとも村人は複数人いることがわかった。
「祭りでもあるのかな?」
「だったら俺達ついてるな。参加させてもらえるかも」
ファンタジー読んでるみたいで面白かったです
読み応えがありましたが、本当に不思議な話ですね。
なんか・・・・
こわ・・