不思議の国のアリス症候群
投稿者:アマリリス (3)
石像は秋田のナマハゲのような鬼にも見えるし猿のようにも見える、異様な風体。
開眼する眼からは歪んだ視線を感じる気持ち悪さを覚えた。
「C達は?」
A子の言葉に我に還り、後ろを振り向く。
そこにはシルエットこそ違うが、同じように倒木が重なってできた空洞があり、似たように蔵並が広がる。
「もしかして、この中に入れば戻れるのかな?」
A子が呑気に手を伸ばしたので、私は止めるべきか一緒に入るべきが悩んだが、その葛藤はすぐさま振り払われる。
「おわっ!」
「あ、居た」
空洞からCとDが出てきた。
恐らく私達を追って入ったのであろうと察し、どこか嬉しくも思った。
しかし、二人が落ちてきたなら誰が引き上げるのだ、と冷静に判断する自分もいる。
男二人も私達同様にこの不思議な環境に戸惑いながら周囲を見回す。
「戻れんのかな?」
Cが空洞に手を伸ばそうとした時、何やらパントマイムを始めたのでA子が笑う。
「何してんの?ウマいけど」
「え?いや、何でか知らんけど、これ以上行けないんだよ」
肩を揺らして笑うA子をよそに、Cは懸命に手を伸ばし前へ進もうとしているようだが、どうにも歩行と移動が噛み合っていない珍妙な光景となっている。
足を動かしているが一歩も前進できていないのだ。
私とDは顔を見合わせ、若干な汗を浮かべる。
Cに続いて恐る恐る空洞へ手を伸ばしてみるが、やはり境界線の区切り辺りから侵入できない、不思議な感覚に悩まされるだけだった。
「え、マジで戻れないの?」
流石のA子も唖然としていた。
とは言え、こうしてここで時間を浪費するのは賢くない。
山の夜は深いのだ。
夜の山中で迷子になれば一発で遭難確実で、食料を持ち合わせていない私達等は数日で餓死するだろう。
「とりあえず進んでみるか?」
「まあ、迂回して渓流に出られたら帰れるだろうしな」
Dの言う通り渓流を見つける事が第一だ。
渓流沿いに歩いてきた私達はきっと渓流に近い場所にいるはず。
ファンタジー読んでるみたいで面白かったです
読み応えがありましたが、本当に不思議な話ですね。
なんか・・・・
こわ・・