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不思議体験

赤壁二世さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

隠しリンクの先の「絵画展」
長編 2022/03/06 07:50 23,263view
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おっさんは起き上がるなり額縁から出ようと飛び掛かってくるが、どうやら見えない壁に遮られて頭をぶつけて転がっていた。

おっさんは何度も立ち上がっては見えない壁に体当たりするが、前に俺がやっていたように当然脱出は叶わない。

そして俺はおっさんの顔をよく確かめてみると、数日前に俺が額縁の中から眺めていたスマホを操作する男であることを思い出した。
おっさんが俺を選んだ事で顔が裂け、その状態で何日も額縁に監禁された怒りが込み上げてくるのと同時に、俺がここへやってきた時のことを思い出す。

俺も動画で知らない男の無惨な光景を見てここへ招かれたんじゃ?
それなら最初にこの絵画展の額縁から出てきた男は、もしや動画の男と同一人物だったのでは?
俺が選んだから男は苦しみ、その復讐心から最後に「次はお前の番だ」と恨めし気に言ったのでは?

更に男は最後に「俺は自由だ」と言っていた。
ここから脱出するには、こうしてのこのこ迷い込んできた人間と入れ替わる必要があるのでは?

額縁の前でしばらく思案して固まった俺をおっさんは悲痛な面持ちで見上げて来る。

俺はおっさんを見据えた後、額縁から遠ざかっていく。

おっさんには悪いが俺はここから早く出ていきたい。
悪夢から覚めたいんだ。

白く果てしない景色に悪趣味な絵画が並ぶ廻廊を進んでいく。
誰のとも知れない阿鼻叫喚の怨嗟がこだまする道を、ひたすら歩いていく。

結論からして、俺は不意に目が覚めた。

がらりと変わったクリーム色の天井とレールにぶら下がる厚手のカーテン。
程好い反発力を後頭部に感じ、保温性の高い布団の心地よさが安堵の息をつかせた。
ここが病室だと思い至るのにさして時間はかからなかった。

俺は、枕元にあるであろうナースコールを探し、プラスチックの質感を拾い看護師を呼ぶ。

話を聞くに、俺は交通事故に遭ったらしい。

その時、運悪く排水路にある網状の蓋に顔面を盛大に打ち付けたとして、目玉が片方潰れ、鼻が粉砕し、顔中に何針も縫う重傷を負った。
頭をぶつけたものだから、術後三日ほど経っても目を覚ますことがなく、このまま昏睡が続けばもっと大きな病院への転院を行う予定だったという。

傷は整形のお陰で一見して縫い痕が際立つ程度で済んだと言われたが、どう見てもフランケンシュタインのアレそのものだ。

意識が戻った翌日、俺の所持品が置いてあったのでスマホを手に取り、事故以前に閲覧していたサイトを開く。

そんな馬鹿な。

閲覧や検索履歴が一部消えている。
例の「絵画展」というサイトは勿論のこと、そこへ飛ばされる前のサイトも、そのサイトへたどり着く前に入力した検索ワードも消えていた。

そんなウィルスがあるのか?

不確かな記憶を辿り、事故以前に検索したワードを手当たり次第に試してみるが、例のサイトへは一向に辿り着けなかった。

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