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オンネトーさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

北海道小樽の心霊スポット オタモイ海岸
短編 2022/03/05 14:37 5,559view
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 北海道小樽市にあるオタモイ海岸は、海に面した断崖や奇岩怪石を望む景勝地とされる一方で、自殺の名所・心霊スポットとしても知られている。夜には海水浴場から声が聞こえてくる、あるいは写真を撮影すると海面に無数の手が写るといった怪綺談が絶えない場所である。約10年前には、北海道の某交通機関の社長の遺体が沖で発見され、オタモイ海岸から入水したという噂が流布された。

 オタモイ海岸がこのような不思議な場所として周知されるようになった背景は、江戸時代末期にオタモイ地蔵尊が創建されたことにある。創建の由来は、弘化四年に一体の妊婦の溺死体がオタモイの浜に打ち上げられたことに端を発する。当時の小樽一帯はニシン漁場として和人が支配する地域で、女人禁制とされていたのだが、なぜか女性の遺体が打ち上げられた。その経緯は次のように伝わっている。

 越中国高岡の一人の美しい娘が、若者と懇ろになったが、親に交際を反対されてしまう。若者は北海道へ渡り、漁師として身を立てることを決意する。娘は若者を追って北海道へと渡り、彼の住むオタモイを目指すが、その航海の途中、女人禁制の境界であるカムイミサキを超えたあたりで風が強まり、荒波のため難破しかける。女人禁制を破ったために神霊の怒りに触れたと思った娘は隠れていた船倉から海中に身を投げた。その後、不思議なことに、その遺体は若者の住むオタモイの浜に打ち上げられたというのである。翌年嘉永元年、この話を聞いた漁場の支配人が地蔵尊を作り供養をしたというのが、オタモイ地蔵尊の始まりである。

 女人禁制域での妊婦の溺死は異常死であり、恋しい男のいる浜へ流れ着いたという伝えと相まって、怨念が強く残ると信じられたようである。

オタモイ地蔵尊は、明治期に入ると、乳授け・子宝の霊験ある流行神仏として定着し参詣者も多く訪れたと伝えられているが、現在に至っては参拝に訪れる人は皆無である。地蔵尊へ繋がる遊歩道には、昭和初期に龍宮閣という料亭が建てられ、多くの観光客で賑わったが、戦後まもなく消失し、その後再興されることなく廃墟となった。遊歩道はしばらく残されていたが、がけ崩れが発生し現在は閉鎖されている。こうした、訪れる人もいない霊場の存在と廃墟跡が異界性を漂わせ、崩れかけた遊歩道があたかも異界への通路のように感じられるのだろう。現在でも、オタモイ海岸での怪奇現象は後を絶たないといわれている。

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コメント(1)
  • 小樽の青の洞窟観光に行く辺りの海岸なんですかね。
    竜宮閣の跡地とか、確か、記事にあるようにお地蔵さんがあって、管理人の方が管理してるって話を聞きました。
    写真には、怖いのは何も写っていませんでしたが。

    2022/03/07/21:42

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