襖の前の弟
投稿者:さすけ (1)
短編
2021/01/17
19:20
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「え?お母さんは気づかなかったよ?
朝起きた時もぐっすり寝てたみたいだけど?」
当時母は弟と一緒に寝ていたのですが、変なところは特別なかったと言います。
内側からの鍵も開いていた様子もなかったらしく、眠りの浅い母があれだけの大声でのやり取りで目が覚めない訳がないと思いました。
私は不思議に思い、弟の部屋に行きまだ寝ていた弟を起こして聞いてみました。
「朝方何があったの?何で俺を呼んでた?」
眠そうに弟は答えます。
「んん…俺ずっと寝てたよ…まだ眠い…」
おかしい…
あれだけ大きな声を出して襖まで叩いていたのに、寝ぼけてるとかのレベルではない…
弟もそんなことをするような性格ではなく、大人しくて真面目なタイプです。
けれど、朝方の声は間違いなく弟のものでした。
あの時襖の前にいたものは何だったのでしょうか。
もし襖を開けていたら、私はどうなっていたのか…
私はいつも起きてすぐ水を飲むので、寝る時に枕元に水入りのペットボトルを置いていました。
朝方、弟らしき存在に起こされた時に、残り少なくなっていたその水を飲み干していました。
朝方の出来事は夢かとも思いましたが、7時に起きた時にはそのペットボトルが空になっていたのでした。
10年以上たった今でも忘れられない体験です。
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