コイコイばばあ
投稿者:くつわ (5)
私は木の影に慌てて隠れて様子をジーッと見ていました。
普通にお参りしているように最初は見えたんです。
でも、お墓のところでゴソゴソしだしたんです。
私は息も出来ないくらい怖くて怖くて体は固まったままでした。
その場でまだ動けずにいました。
ばばあがついに、白いものを手に取り口の中に入れました。
私は骨を口の中に入れる瞬間を見てしまったんです。
やはり骨なんだと確信した瞬間でした。
さっきより体が更に固まってしまい動けなくなりました。
しばらくすると、いなくなったので、私はやっと家に帰る事が出来ました。
家に帰っても、その日にあった事が頭から離れずご飯は喉を通らず、夜も眠れませんでした。
夢にまでそのばばあが出てきそうな勢いでした。
私は学校に行って、前の日にコイコイばばあを見かけた事を友達に話しました。
骨を食べてた事も見たもの全てを話しました。
その噂が先生にも伝わり、コイコイばばあの話を聞かれました。私は詳しく先生に話しました。
何年か前に1人のおばあさんがいて、夫に先立たれたらしく、いつも墓地を訪れていたそうなんです。
悲しみのあまり墓の中から骨を出して、その骨を抱えたまま、お墓の前で亡くなっていたらしいんです。
そのおばあさんがもう実在していない人物らしい事を聞いて、私は幽霊なんだと確信しました。
成仏できずに、まだお墓の前を彷徨っているんだと。よっぽどこの世に未練があって、悲しい思いが強いのだと思いました。ちゃんと成仏出来るように私は心から願いました。
おばあさんが安心してあの世に行けるように出来ることはないのか一生懸命考えたりしました。
私達でそのお墓にお参りに行くことになりました。もちろん、先生も付き添ってくれました。
私はちゃんとおじいさんがいる天国に行けるようにお参りしました。
それから、何日か経って、私はまた夕方に公園にいる機会がありました。またそのおばあさんが現れたんです。
今度は骨を食べる様子はなく、お墓の前で何か話をしている風に見えました。安心したような顔にも見えました。
そして、その時、私はそのおばあさんと目が合ってしまったんです。
こっちを見て微笑んでいて、口を動かしていました。私にお礼を言っているように見えました。
私は怖いので固まってはいましたが、前よりは緊張が解れた感じになっていました。
最後にこっちを見て手を振って消えていきました。
その時は、明るいというか、温かい光のようなものが一瞬見えたんです。
私はやっと、おじいさんのいる天国に行けたんだなと思い安心した気持ちになりました。
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