修学旅行での出来事
投稿者:諏訪 (2)
長編
2021/01/14
12:10
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おじさんが話してくれた事はこんな内容だ。
この地域ではヤマガという存在が言い伝えられていて私とAが見たあれがそのヤマガ。
ヤマガは触れてはいけない存在とされていて、本当は見るのも良くないらしい。それはヤマガに存在を認識されると、持って行かれるから。(なにが持って行かれるのかは聞けなかった。)
持って行かれた人は、感情を失って笑うことも無くなり、言葉も発さなくなる。
この地域に住む人は子供の頃に、抜けた乳歯か髪の毛をヤマガを祀る祠のような場所にお供えする。こうする事で、一度持って行かれたとしても取り戻せる可能性があるらしい。
ヤマガの祠はあの川の向こう側にあって、地元の人はお供えの時以外で川の反対側の山に入る事は無い。
おじさんは、ヤマガが川の近くまでは来ないと思っていたからあの川で私たちを遊ばせた。(おじさんだけでなく地元の人はみんなそう思っているらしい)
おじさんが一通り話終わった後に、なぜ昨日「ヤマガの顔を見たか」と聞いたのか尋ねると、おじさんは「取り戻す事のできた人が、ヤマガの顔を見たと言っていたから」と答えた。
ここでもう夜も遅くなったから、と話を終えて寝た。
次の日は帰る日なので、朝ごはんを食べて記念写真をみんなで撮って民泊先の家を後にした。
この後少し観光をしてから、新幹線に乗って帰ったが、結局Aは一言も喋らず笑うことも無かった。
少なくとも、最後にAを見た中学校の卒業式の日まで一度も。
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