雪だるまのこども
投稿者:with (43)
じゃあ、俺達が今救出しようとしているモノは何なんだ?そう言いたげな表情だった。
振り返った俺は、何となく埋もれているモノに覆い被る雪を手で掬う。
そこには身に覚えのない子供の顔があり、白い顔でニタっと笑った。
「ぎゃあああああ」
「「わああああ」」
俺が悲鳴を上げるのとほぼ同時にAとCも叫んだようだった。
俺達は足をもつれさせながらその場から一目散に逃げた。
Bの元へ逃げてきた俺達は息を荒げてその場にへたり込む。
Bは不思議そうに俺達を見下ろすと、「蛇でも出たか?」と半笑いだった。
「あ、あれ」
俺が指差すと、
「あー!かまくら崩れてんじゃん!まじかよ」
Bは別の悲鳴を上げた。
Bはバケツを抱えたままかまくら跡地へ駆けよっていく。
そして惜しむように雪の残骸の欠片を拾い上空へ投げ、塊はボスっと音を立てて雪に埋もれた。
「くそー!作り直しかー!」
Bが叫びながら例の子供がいたであろう雪の塊も蹴り飛ばしたので、俺達は絶句した。
「B!早くこっちこいって!」
Aが声を張ってBに避難を煽るが、Bはその場で残骸を踏み固めている。
「早く作り直そうぜ!」
Bは雪を蹴散らしかまくらの土台を作るべく整地作業を始めていた。
「…アレ、いねえのかな?」
「さ、さあ」
AとCが不安気に顔を見合わせる。
結局俺達はBと合流し再びかまくらの復興作業に取り掛かることにした。
その時、三人で大き目な雪の塊を見つけては中に何かいないか確認したのが、結局あの子供はどこにもいなかった。
俺達は終始首を傾げながらだったが、かまくら2号は完成し左右には背丈ほどの雪だるまを設置した。
Bは自分が拾ってきた枝を雪だるまにさして満足していた。
「アレなんだったんだろ」
「わかんね」
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