ある冬の夜のこと。
いつものように布団に入って眠りにつこうとすると、外から猫の鳴き声のようなものが聞こえてきた。
それがだんだんと近づいてくる。
近づいてくるとそれが、猫の鳴き声ではなく人間の子供の泣き声であることに気づいた。
(なんだよ、こんな夜中にうるせーな……)
時刻は深夜2時を過ぎている。
(いや待てよ、子供の泣き声だとしたらヤバくね?迷子かもしれないし)
ベッド横の出窓からそっと外を覗く。
泣き声はすぐそばから聞こえるのに、その姿は見えない。
次第に、泣いているだけだった声に「かあちゃ〜ん」「こわいよ〜」「さむいよ〜」という叫びが混じり始め、居ても立っても居られなくなった。
俺は寝巻きの上に適当にジャンパーを羽織ると、サンダルを履いて外に出た。
声は、俺が住んでいるアパートの裏手にある公園から聞こえていた。
とりあえずスマホで警察を呼ぶ準備だけして公園に入ると、小さな女の子がひとりでシーソーに座って俯いて泣いていた。
「君、迷子?どの辺の家の子なの?」
子供とほとんど接したことがなく、不審者みたいな聞き方になってしまった。というかこの状況を見られたら俺は間違いなく誘拐犯扱いされていたと思うが……。
女の子は顔を上げて泣き止んだ。泣き腫らして目が真っ赤になっていたが、俺が再度
「大丈夫だよ。今からお巡りさん呼んで、ちゃんとお母さんに来てもらうから」
と声をかけると、その女の子はパッと笑顔になった。
そして無言で俺の手を引っ張り、どこかへ行こうとする。その力があまりにも強くて驚いた。子供の力というより、大の大人に手を引かれているような感覚だった。
「ちょ、待って待って!警察呼ぶから」
俺は片手でスマホを操作し110番を押した。が……何故か繋がらない。そのうちスマホの電源が落ち、うんともすんとも言わなくなってしまった。
「ええ……!?なんでこんな時に」
パニックになり女の子の手を振り払ってしまった。
「あ、ごめん、ちょっとスマホが」
女の子は真顔で俺をじっと見ている。
その表情がだんだんとしわくちゃになり、老婆のような顔になった。そして
「おまえが邪魔するからだぁ!!!!!」
耳が裂けるような声で女の子が叫んだ。
いや、それは女の子ではなかった。
女の子の胴体に老婆の首が乗ったバケモノだった。
俺は情けない悲鳴を上げて逃走した。
めちゃめちゃ怖かった
ありがとうございました。
最強
最後が怖かった