予知と肝試しと悪寒の話
投稿者:赤壁二世 (13)
俺が捲し立てるように問いかけると、Mは冷静に返答をする。
「前に言ったよね、予知夢の話。たまにね、好きな人が夢に出ると、何でか知らないけど未来で起きる出来事っていうの?そういう光景が見えるんだよ」
「へえ」
本当に予言者みたいだなと俺は感心した。
「で、今回見たのが○○君達が肝試しに行ってる夢でね。夢の中の○○君は足元に子供を抱えながら持ち帰ってたんだよ。どうみても人間に見えないから怖かったよ」
Mは幽霊が苦手だから目を瞑って震える素振りを見せた。
「それは分かったけど、俺どうすればいい?お祓い行ったほうがいい?」
「たぶん、大丈夫じゃない?」
何が大丈夫なのかと聞けば、Mは昨晩も俺の夢を見たらしい。
その夢では受験に成功して喜んでる俺が皆とカラオケやらボウリングを楽しんでる光景が映っていたらしい。
つまり、Mの予知夢が正しければ受験まで平穏無事に過ごせている証拠であって、その夢に子供の幽霊がいないことが「大丈夫」の理由だそうだ。
「え、てか俺志望校受かるんだ」
予想だにしていなかった事実に俺は恐怖から一転して赤飯モードになってしまう。
それはさておき、子供の幽霊がいなくなるとはどういうことなのだろうかMに聞けば、
「幽霊も取りつく相手選ぶんじゃない?」
と苦笑していた。
「それか〇〇君がずっと無視し続けてたから諦めたとか。子供ってそんなもんでしょ?」
そんなアホなと思ったが、確かに今朝には幼児の霊は視認できなくなっていたし、あの絶叫も聞こえてこない。
幽霊にも飽き性とかあるのだろうか。
何だかカウンセリングを受けたように気持ちが楽になったので俺は気分も晴れたのでこれからカラオケに行かないかとMを遊びに誘った。
「いいよ」
快く承諾したMと立ち上がり、俺は歩き出す。
ただ、何か違和感が引っ掛かっている気がしてならない。
Mの言葉の中に、確かに奇妙な文脈が紛れ込んでいたのだ。
好きな人が夢に出る。
俺はぞわわと背筋に悪寒が走り、Mの横顔を見る。
視線に気づいたMがニコリと笑顔を返す。
そしてこれから向かうのはカラオケボックス。
俺の杞憂だといいが、何も起きないことを祈るばかりだ。
たまにそうゆう奴いてるよね!
ホモ系ではなく、預言者みたいなの。
アッー!