予知と肝試しと悪寒の話
投稿者:赤壁二世 (13)
「あの女マジもんかな?」
腕の鳥肌を擦りながらBは俺に訊ねるのだが、俺は女なんて見ていない。
俺が見たのは幼児の幽霊だ。
「まあ、あんな場所にいるのは幽霊かヤバイ奴でしょ」
この時、俺は何となく幼児の事を伏せて誤魔化した。
それからA姉に電話が繋がり予定より早いが迎えに来てもらい、A姉が俺達をそれぞれ自宅まで送り届けてくれた。
「じゃあな、○○」
「おう、また。A姉さん、ありがとうございました」
「あいよ」
自宅の前でA姉弟と別れた俺はテールランプが見えなくなるまでその闇に溶け込んでいく赤い光を見届けていた。
合鍵で自宅に入ると家族は就寝していて静けさが孤独感を煽り、この日は風呂に入らず歯磨きをして寝ることにした。
ただ、俺の精神は疲弊しきっている。
なぜならあの白い幼児が足元に付いてきているからだ。
木にしがみつくコアラのように優しい手つきでぎゅっと掴まる姿は一見小動物のようで愛らしい。
だが、時折見上げる顔には目玉がなく黒い空洞があり、口はだらしなく開いたまま涎のような体液が顎まで伝って垂れている。
そして、目が合うと幼児は叫ぶ。
あああああああ
あの絶叫の発生源はコイツだったんだ。
俺は布団に潜って早く意識がなくなるのを待ち望んでいた。
一刻も早く眠って朝になってほしかった。
そしてMに相談しよう。
きっとMなら何か解決策を知っているはずだと、何の確信もない信頼が不思議とMには感じられた。
翌朝、結局一睡もできなかったが早速Mに連絡する。
『はい』
意外にも数回のコールでMが出たので、俺は必死な説明を受けたMと公園で待ち合わせすることになった。
因みに朝になるとあの幼児の姿は何処にも見当たらなかった。
予定より一時間も早く公園で待っていたが、約束の時間より20分も早くMは来てくれた。
何というか無性に人恋しくなっていた俺は再度事のあらましをMに話すと、Mは「まあ、落ちついて」と両肩に手をそえて宥めてくれる。
「あの子供の幽霊のこと知ってたの?」
「知らないよ。夢で見ただけ」
たまにそうゆう奴いてるよね!
ホモ系ではなく、預言者みたいなの。
アッー!