呪いの終着点
投稿者:ligy (1)
それから一週間ほど過ぎたのですが、日に日にお婆さんが校門前で聞き込みをしている姿を見かける事が増え、学校が呼んだのか遂にはお巡りさんも仲介に入って追い返していました。
「マジやべえよな、あのババア。おまえ捕まったら殺されるぞ」
教室の窓からお婆さんが帰っていく後ろ姿を見ていたB君が、少し顔色の悪いA君に向かって笑いながら話していました。
「うるせえ。つーか、あの時○○が引っ張るから落としたんだぞ」
突然A君が私を名指ししたので思わずキョドってしまい心臓がバクバクしてしまいました。
実際私が腕を引っ張ったせいでA君の手元が狂い、盆栽に傘を引っ掻け落としてしまったのです。
盆栽が割れたのも、傘をお婆さんの庭先に落としたのも、私のせいなのです。
「それはAが覗き見しようとしてたからでしょ」
俯いて言い返せなかった私を庇うようにして、C子が代弁してくれました。
C子に続いてD子も加勢し、A君は女子に詰め寄られる居心地の悪さに耐えかねたのか、「めんどくせ」と吐き捨てて教室を出ていきました。
お婆さんの犯人探しが落ち着いたのは一ヶ月が過ぎた頃でした。
最近登下校の道で見かけなくなったので、ある日、母にお婆さんについて訊ねてみたのですが、
「ああ、あのお婆さんね。亡くなったみたいよ」
私は晩御飯のミートボールを取ろうとしたところで箸を外してしまい、皿の上からコロンと転がりました。
慌てて手で掴んだので注意を受けつつも、話の続きに耳を傾けます。
「風邪が悪化して肺炎で亡くなったみたいよ。怖いわね、風邪。あんた達も気を付けなさいよ」
風呂上がりで髪を乾かさずに食事していた父に言い聞かせるよう、最後の部分を主張して母は言いました。
母は話を続けます。
母の話では、割れた盆栽は亡くなった旦那さんが傘寿の祝いにプレゼントした想い出の品らしく、意地でも盆栽を割った犯人に謝罪させようと雨の中犯人探しに躍起にやっていたそうです。
しかし、無理がたたり風邪をひいてしまったお婆さんはそのまま肺炎にかかり亡くなったのでした。
私はその話を聞いてからというもの動悸が止みません。
お婆さんが亡くなってから何日か経過した日の事です。
それはあの日と同じ雨が降る放課後、A君が交通事故に遭い右手と両足を骨折する重傷を負ったのです。
A君の事故から数日、面会の許可が降りたので私はいつもの下校メンバー4人でA君の見舞いに行くことになりました。
病室を覗くと顔面蒼白で目が虚ろなA君を見て悪寒がしたのですが、A君は私達に気付くといつもの笑顔になり動かせる左手を振り上げました。
「おー、来てくれたのか」
「久しぶり、元気そうだな」
相変わらずな調子でB君はA君とすぐにいつもの口調で語らい緊張を解してくれます。
C子もD子も近況報告も兼ねて学校でのことを話し、A君は楽しそうにそれを聞いていました。
私は病室に入った時のA君の表情は単に一人で退屈だったのかと解釈したのですが、私達が帰ろうと席を立った際、泣きそうな顔で引き止めるので皆で当惑しました。
読ませるねぇ、面白かった
少し理不尽な気もする呪いですね
お婆さんの気が済んでいればいいけど…
真相を、はっきりと伝え、真摯に謝罪すれば許してくれたのではないでしょうか。
あの日の出来事を、学校の先生やおばあさんに伝え、謝罪していれば、こんな事態にはならなかったのでは?謝罪し、真実を伝えることがそんなに怖いことでしょうか。未だに怯えているなんて。自業自得だろうと思ってしまいます。
逆に私を自己に合わせたのはお前かって言ってみたい
訂正自己× 事故
普通に怖い
般若の形相
他人の一方的な呪いの巻き添え食って子どもを轢いてしまった運転手に同情を禁じ得ない