母は独り言のようにつぶやきました。
「引っ越しの時期をもう少しずらしていたら、マキちゃんは生きてたのかな…」
マキちゃんは、暴力を振るう旦那さんの事をずっと母に相談していたのでした。
でも我が家の引っ越しが急に決まり、マキちゃんは気軽に家に遊びに来られなくなってしまったのです。
相談相手を失ったマキちゃんは、精神的に耐えられず小さな子供を残し、独りであの世に旅立ってしまいました。
私はマキちゃんの死に直接関わっていないけど、心苦しさがありました。
母はマキちゃんの死期を早めたのは、実は私かも知れないと思っています。
あれから約30年以上過ぎた今でも、あの夜のことは昨日のことのように、ハッキリと覚えています。
そして寂しそうに私を見ていた、マキちゃんのあの白い顔が、いまだに忘れられません。
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