事故物件”ではない”私の部屋で
投稿者:ぴ (414)
まるで誰もいないかのごとく、静かでした。
その日夢のせいでぐったり疲れた私は、職場の人になにげなく夢の話をしたんです。
まるで自分の身に本当に起こったようなリアルな夢だったので、不安やストレスを発散するために話しただけのつもりでした。
そしたら、職員の一人が「近くのアパートでそういえば、数年前に火事があったよね~」と話し出しました。
どうやらアパートの一室が燃えて、子供2人と両親が亡くなったんだそうです。
そしてそのアパートの名前にドキッとしました。だって私が住んでいるアパートと同じ名前だったからです。
その日の内に、私はアパートの管理人さんに電話をして、隣に入居してきた人の話を聞いてみました。
そしたら「入居者なんていない」というのです。
隣には誰も引っ越してくる予定はなく、誰も住まないといわれて愕然としました。
子供の声がしたと言っても、何を言っているんだというように鼻で笑われてしまいました。
なんだか悔しくなって、私は職場の人に聞いた火事の話をしました。
これを話すと、管理人さんは明らかに動揺しているようでした。
私が火事で人が死んだなんて聞いていませんと言ったら、管理人さんが言い繕うように言ったんです。
「火事は確かにありましたが、その部屋は事故物件ではありませんよ」と。
本当の事故物件は私の部屋の隣。
そう、私が連日子供たちの気配を感じた隣の部屋だと言いました。ぶわっと私は全身に鳥肌が立つのを感じました。
管理人さんとの電話を切って、私は今朝の夢を思い出しました。
隣ですすり泣く子供の声と必死で壁に何かをぶつける音。
これは火事の最中、実際に起こった出来事だったのかもしれません。
私はその後、日にちを開けずにこのアパートを引き払い、転居しました。
あの火事の夢は、あまりに強烈に心に残って今もたまに夢に見ます。
そのときの恐怖心、燃え盛る音や子供の泣き声も今もリアルの思い出します。
隣の部屋から聞こえた話し声は、私に火事で起こったことを知ってもらいたかったのでしょうか。
事故物件…もしかしたら曰くのある部屋というのは、今もまだ何度もその日を繰り返しているのかもしれません。
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。