成仏するために吹いた風
投稿者:ジュリー (62)
私の親戚のおじさんのお父さんが亡くなったと連絡が入りました。
幼少期に遊びに行った程度で深い関わりも思い入れもありませんでしたが、最後は見送りたいと思って田舎に。
私たちが住んでいる同じ市内かと疑う程田舎で、周囲には人が住んでいないような家が並んでいました。
おじさんと母、私の祖父、私の4人で行き、おじさんはそのまま家に泊まると言っていました。
翌日、「何もなかった?」と笑いながらおじさんに尋ね、おじさんが「何もないわ!」と言うことを想定していたのですが。
思ったより暗い顔で「眠れなかった。」と言います。
おじさんの話では、台風が来たのかと思うような風の音が夜中ずっと響いており、窓を開けると外は無風。
いつもは明るく陽気なおじさんもさすがに「不気味だ。」と恐怖を感じて眠れなかったそうです。
私も同じ市内ですが、昨日は風の音1つもありませんでした。
お父さんの死後しばらく「実家が怖い。」と言っては「お前の育った家だろ。」と親戚から笑われていたおじさんでしたが。
やがて実家に寄り付かなくなったおじさんの姿を見て、周囲も言わなくなりました。
実家に通って畑を手伝ったり、洗車をするのが趣味だったおじさんの姿は消え去り、雑草だらけになった畑を久々に見た時。
「本当にあの日の夜、変な音がおじさんにだけ聞こえたんだろうな。」と実感しました。
実際に無風で星空だった外とは正反対に、お父さんが成仏するために吹いた風だったのか。
とふと思います。
実は怖がらせていたり…と思ってしまいました