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心霊

ぴさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

毎晩見る「黒猫を車で轢く夢」
短編 2021/09/10 11:47 1,480view

私はその日、連日の仕事でくたくたに疲れていて、夕方ものすごい眠気に襲われながら車を運転して帰っていました。
本当にあのとき近くに人でもいたらヤバかったのではないかと思うくらいに、注意力散漫になっていたんです。
家に帰りつく20分ほど前に突然道路に飛び出してきた動物を前にして咄嗟にブレーキを踏むことができませんでした。

ドンッという鈍い音がして、私は「あー、やっちゃった」と思いました。明らかに動物を轢いてしまったと分かったからです。
焦って近くを探しましたが、その動物がいません。横は森林が広がっていて、薄暗くなってきた夕方にそこに入る気も起こらず、疲れていたこともあって私はもうなかったことにしようと思って、再び車に乗って運転を再開したんです。
そのときに私は小さな猫の鳴き声を聞いたような気がします。でも疲れでどうにも休みたかった上に自分が轢いた何かを見るのが怖かった私はいそいそとその場を後にしてしまいました。それがそもそもの間違いだったと思います。

それから毎晩のように、黒猫を車で轢く夢を見るようになりました。その夢の中の私も車から降りて同じように猫を探しますが見つかりません。最初の一回は何か動物を轢いてしまった罪悪感からくる夢だと思って気にしないようにしました。しかし、翌日もその翌日も続いてしまうとさすがに気味が悪いです。

私はこの夢が永遠に続くのが怖くなって、夢の中で猫を捜索するようになりました。そしてやっと4日目の夜に森に入って少し奥に分け入った溝で猫を発見しました。夢の中の私はその猫を溝から持ち上げるのですが、持ち上げた瞬間いきなり猫の首が起き上がり私の首にかぶりついてきて、恐怖の叫びとともに目を覚ましました。あのときほど夢で良かったと思ったことはありません。

私は怖かったけれども、また翌日も夢にあの猫が出てくるのが怖くて、当時付き合っていた彼に付き添ってもらって、あの日車で猫を轢いた場所にやってきました。そして夢と同じように森の中に入り、あの溝を探してみたんです。そしたら本当に溝が見つかってそこから轢かれてどうしようもないすごい状態になった「黒猫」を発見してしまいました。あのぞくぞくした恐怖の瞬間は忘れられません。

その後、彼が警察に電話してくれてなんとか轢いてしまった猫を供養しました。それ以来スッカリあの夢は見なくなったのですが、代わりに不思議なことが。毎年、猫を轢いたあの日がくると、すぐ近くの耳元で「ニャー」という猫の空耳が聞こえることがあり、今も時折冷やりと恐怖に震えます。もしかしてまだあの猫は私を怨んでいるのかもしれません。

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