旧犬鳴トンネルに行った母親たち

これは私の母が大学時代に体験した話です。
私の母は俗に言われている“陽キャ”で、長期の休みになるとサークルの先輩方と海に行ったり、色んな観光地を巡っていました。

ある日、サークルの先輩(T先輩とします)から母含め数人で有名な心霊スポットに行かないかと誘いを受けました。母は怖いものが非常に苦手で、前日まで行くかどうか迷っていましたが、ひっそりと恋心を抱いていたT先輩と良い感じになれるチャンス！と思ったようで、勇気を振り絞って行くことを決意しました。

当日の夜、T先輩の車で連れていかれた心霊スポットは、全国的にも有名な心霊スポットである福岡県の「旧犬鳴トンネル」でした。去年映画にもなっていましたね。今は封鎖され誰も立ち入ることはできませんが、当時はまだ人が立ち入り可能で面白半分で訪れる若者がたくさんいたそうです。

結局トンネルの先までたどり着いたものの、同じく興味本位で訪れた別のグループもいて怖さが半減したので、皆で写真を撮り車中でトランプのババ抜きをして帰りました。
母曰く「トンネルに行くまでの細いくねくねした山道のほうがよっぽど怖かった」そうです。

その日は特に何にも起きず解散しましたが、数日後から母の周りで異変が起き始めました。まず、母と一緒に参加した友人が学校に来なくなりました。友人は遅刻欠席なしの皆勤賞だったので心配になった母が友人の家に行き事情を聴くと「あの日トンネルに行ってから毎晩ひどい金縛りにあって頭痛もひどくて動けないの」とのことでした。
時を同じく、T先輩も同じ症状に見舞われていました。これは絶対トンネルに遊び半分で入ったせいだと思った母は、友人とT先輩を連れて、地元で有名な霊媒師に除霊してもらいに行きました。

その結果、友人もT先輩も金縛りや頭痛からは解放されました。良かったと胸をなでおろす母に霊媒師は「あなたは守護霊が強いから運よく何も起きなかったけど、あの２人は浮遊霊が憑いていたわ。もう二度と心霊スポットに面白半分で足を踏み入れちゃだめよ」と怒られたそうです。
皆さんも心霊スポットに行くときは十分お気をつけください。