群馬の温泉旅館で体験した怖い話

これは2年前に僕が実際に体験した怖い話です。
群馬県にある旅館に彼女と一泊二日での温泉旅行に行きました。
かなりの山奥ということもあり周りに人が生活している様子もなく秘境という言葉がよく似合う場所でした。

ご飯も美味しく、温泉自体もゆっくりと入ることができて初日の夜は満足して眠りにつく事が出来ました。
翌朝目が覚め旅館を発つ前にもう一度温泉に入ろうということになり、僕と彼女はそれぞれ男湯、女湯に向かい、温泉に浸かりました。
僕の方が先に温泉から上がり、彼女より早く部屋に戻り彼女が戻って来るのを待つ状態でした。
すぐ戻って来るだろうと思って携帯で漫画を読んでいたのですが、一向に戻って来る気配がなく、朝早くから行動してしかも温泉上がりということもあり眠ってしまいました。

それからしばらくすると部屋の扉が開く音が聞こえてきて「あ、彼女が戻ってきたんだろうな」と僕は思いました。
しかしそう思っていたのも束の間で、うつ伏せ状態で寝ていた僕を彼女は無理やり仰向けにして、その上にまたがってきました。
僕は寝ぼけている状態で（いきなりなんなんだよ）と思い彼女の顔を見ようとするとそこには彼女ではない、見知らぬ女性が僕の上にまたがっていました。

その女性は黒髪の長髪で浴衣姿をしていてよくある怖い話に登場する幽霊の典型的な雰囲気という感じでした。
僕はあまりの驚きで声も出せず、体も思うように動かせず金縛りのような状態でした。
驚きと恐怖の中、その女性は徐々に頭を上げ始め顔が見えそうになってきました。
（顔を見たらなんだかやばそう）本能的にそう思い必死に抵抗しようとしましたが全く体を動かすこともできず、目を逸らすことも出来ませんでした。
どんどん恐怖の感情が大きくなり、女性の口元くらいまで顔が見えてきています。
（もうだめだ）とも思いましたがここで弱気になったらダメだと少しでも抵抗しようとして微かに「や、やめろぉ」と声を出すことが出来ました。
その瞬間に女性の姿が消えました。
状況をうまく掴めてないままボーッとしていると部屋の扉が開き、彼女が戻ってきました。

僕の彼女は霊感があると以前から言っていたのでついさっき起きたことを話してみると、以前僕が付き合っていた女性がまだ僕に未練が残っていることから生き霊という形で現れたとのことでした。
その時はあまり信じられなかったのですが、このすぐ後にその女性からしつこく連絡が来て、彼女が言っていたことは嘘ではなかったんだなと思いました。