新居にて
投稿者:ねこきち (21)
仕事の関係で転居することとなった私は、不動産屋で紹介されたある戸建ての賃貸物件に一目惚れした。
外観は古いが内装はしっかりリフォームされており、小さいながら庭もついている。交通の便も悪くない割りに家賃も安い。
子供が大きくなり今のアパートが手狭だと感じていたこともあって、戸建てを検討していた私には願ったり叶ったりの物件だった。
契約や引き渡しもとんとん拍子で済み、いざ引っ越してみると、内見の時には感じなかった妙な雰囲気を感じる。私だけでなく、妻も子供もそれを感じている様だ。何かよどんだ空気が、家の中に漂っている気がする。
「今日は曇っているし、引っ越しで疲れているんだろう。片付けは明日にして、今日は寝よう」
私はそう言って家族を休ませた。
翌日、家の中の整理が一通り終わり、私は庭の掃除をすることにした。
庭にはタブの木や椎の木が生えており、その落ち葉で庭一面覆われている。端から落ち葉をかき集めようとしたところ、隣家との境のブロック塀の前に、等間隔で何かが並べられていることに気がついた。
近づいて見てみると、それは植木鉢や瓦の破片だった。どれも掌に乗るような大きさで、表面には(薄くなり消えかけていたが)チョークか何かで字や絵が書かれている。字の稚拙さから、恐らく子供が書いたのだろう。
右端から、魚の絵の下に「きんぎょ」と書かれたもの。蝶の絵の下に「ちょうちょ」と書かれたもの。猫の絵の下に「にゃんた」と書かれたもの。そして一番左には人の顔の下に「まま」と書かれたものが並んでいる。
嫌な予感がしつつ、「きんぎょ」の瓦を手に取った。落ち葉で隠れていた部分に「のおはか」と書かれていた。
話の展開の仕方がうまいなと感じました
等間隔って何mピッチなのだろう?
おもしろい!