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特別投稿

猫鬼 李桜鑼_1412さんによる特別投稿にまつわる怖い話の投稿です

【実話】黒い髪と鏡
短編 2026/06/10 16:48 73view

これは、先生が話していた話です。

間取りはごく普通の2LDKでした。
前の住人が綺麗に使っていたようで、壁紙と床を張り替える程度で住み始めました。
ただ、入居した初日から「音」がおかしかったのです。
夜、ベッドに入ると、リビングの方から 「カサ・・・・・・カサ・・・・・・」と何かが擦れるような音が聞こえてきます。

最初はネズミかゴキブリかと思ったのですが、耳を澄ますと、その音が「移動している」 ことに気づきました。
壁を伝って、ゆっくりと、天井に向かって這い上がっていくような音です。一週間ほど経った頃、音だけではなく、明確な視覚の違和感が始まりました。

仕事から帰って玄関を開けると、奥のリビングの空気だけが、妙に「白く濁って」見えるのです。
さらに、視界の端、いわゆる「錯視」が起きるギリギリの境界に、いつも黒い影が立っているように感じられました。
「疲れているだけだ」

そう自分に言い聞かせましたが、ある夜、決定的瞬間が訪れました。 深夜2時頃、ふと目が覚めて喉が渇いたので、寝室を出て暗い廊下を歩いていました。
洗面所の前を通り過ぎようとした瞬間。
すぐ耳元で、はっきりと、若い女性のような声でため息をすぐ近くでつかれたのです。
心臓が跳ね上がり、パニックになりながらリビングの電気をつけました。当然、誰もいません。

翌日、私はたまらなくなって、知り合いの内装業者に連絡し、部屋を徹底的に調べてもらうことにしました。
業者の男性は、私の話を「古いマンションだし、建物の軋み音ですよ」と笑って流しながら、壁や床をコンコンと叩いて点検していました。
しかし、リビングの壁の一角―――
ちょうど、私がいつも「黒い影」を感じていた場所を叩いた時、男性の手がピタッと止まりました。
「・・・・・・あれ?ここ、妙に音が軽いな」
彼は首を傾げ、壁紙の隙間にカッターを入れました。

めくってみると、そこは本来あるはずのない、石膏ボードで不自然に塞がれた「謎の空間 (空洞)」になっていたのです。
「ちょっと開けてみますね」
男性がバールでボードを数センチこじ開けた瞬間、部屋中に「古い畳が腐ったような、強烈な生臭い匂い」が広がりました。男性は顔をしかめながら、懐中電灯でその隙間を照らしました。
私も後ろから覗き込みました。
コンクリートの剥き出しの壁と、石膏ボードの間のわずか10センチほどの隙間。
そこに、1枚の古い 「姿見(全身鏡)」が、壁の裏側 (部屋の内側)を向く形で、ぴったりと埋め込まれていました。
鏡の表面は、なぜか大量の「黒い髪の毛」が、粘着テープのようなもので執拗に貼り付けられていました。
「うわっ、なんだこれ・・・・・・気味悪っ………………」
業者の男性がそう呟き、鏡を引っ張り出そうとした、その時です。
バキッ。
鈍い音がして、ボードの隙間から、何か「細くて白いもの」がシュルシュルと音を立てて、床の隙間へと滑り落ちていきました。

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